全国で緊急事態宣言が解除されましたね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。ワタシは、休日にドライブをするのが最近の唯一の楽しみでございます。

今回は、電気自動車レースのFormula Eという世界大会についてのお話です。みなさんはFormula Eという大会について知っていますか?あまり日本では聞き馴染みのないこのFormula Eについて詳しく書いていこうと思いますので、今回もお付き合いいただけますと幸いです。

1. Formula Eってなに?どのくらい人気なの?

まずはじめにFormula Eっていうスポーツの説明。そしてどのくらいの人気があるのかを説明しておきます。

1-1. Formula Eってなに?

Formula Eとは、国際自動車連盟(FIA)が開催する電気自動車のレース大会です。Formula Eは2014年に初めて開催され、2021/22シーズンには8シーズン目を迎えます。レースには12チーム、24名の選手が参加します。参戦しているチームの多くは自動車会社で、チーム名にその会社名が入っています。(出典:ABB Formula E | TEAMS + DRIVERS

↓は2020-21シーズンに参加した12チームの一覧です。12チーム中10チームが自動車会社のチームです。

(出典:ABB Formula E | RACE RESULTS より作成)

皆さんが自動車レースと聞いて頭に思い浮かべるのは、おそらくF1かと思います。自動車レースの最高峰と謳われる大会です。日本でも認知度&人気がありますよね。

実は、今回紹介するFormula Eは、そのF1と並ぶFIAが開催する5つの世界大会のうちの1つなんです。つまり、Formula Eは最近誕生した大会にも関わらず、歴史ある自動車レースと同等の大会として扱われているのです。ゆえに電気自動車のF1なんて呼ばれているみたいです。

(出典:FIA | FIA HP より作成)

1-2. Formula Eはどのくらい人気?

そんなFormula Eはどのくらい人気があるのでしょうか?

Formula Eは、最新のシーズンである7シーズン目(2020-21)に、なんと延べ3億人以上の観戦者を集めました。F1はテレビで視聴した人だけでシーズン延べ15億人いたそうなので、まだまだF1には及びません。しかし、空前の大ブームを巻き起こした「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の全世界累計来場者数は約4135万人。あの鬼滅が約4135万人だと考えると、Formula Eが3億人の観戦者を集めたというのはかなりスゴイことのような感じがしますね。(出典:ABB Formula E | Record-breaking global TV audiences for Formula E in Season 7 、FIA | Formula 1 announces TV and Digital audience figures for 2020  、Yahooニュース | 劇場版『鬼滅の刃』世界累計4135万人・総興行収入517億円を記録

さらに、2019のFormula E の収益は、前年の2018年と比べて50%UPしたそうです。(出典:Reuters | Motor racing- Formula E reports record revenues and first profit

ファンの数も多く、大会の収益を急激に伸ばしているということで、Formula Eの人気度がなんとなく伝わったかと思います。

2. Formula E誕生の背景

歴史が浅いのにも関わらず、多くのファンを持ち、急激な収益増加までしているFormula Eですが、そもそもなぜこの大会は誕生したのでしょうか?

2-1. 国際自動車連盟(FIA)の課題から考える

Formula Eを開催する国際自動車連盟(FIA)には、大きな悩みがありました。それは、F1を始めとする自動車レースには若者のファンが少ないことです。2019年にはF1を見ているファンのうち25歳以下の若者はたったの14%だけだったこともあったそうです。(出典:Forbes | F1 Reveals That Just 14% Of Its Viewers Are Under 25

2-2. 自動車レースに参戦する自動車会社の課題から考える

自動車会社の悩みは、若い世代の車離れです。これは、自動車会社全体が抱える課題と言えるでしょう。

自動車大国と言われるアメリカでは16歳の運転免許取得率が1983年の46%⇒2017年には26%と大きく低下。20歳~24歳でも92%⇒約80%まで下がったそうです。運転免許がなければ自分で車を買うことはほとんどないでしょうから、アメリカでは確実に若者のクルマ離れが進んでいるようです。(出典:U.S. Front Line | 若者の車離れが販売に影響 ~ 「自由の象徴」の時代終わる

要は、大会側も、レースに参戦する自動車会社も、若者の獲得という共通の課題があったのです。この共通の課題を協力して解決すべく、Formula Eが誕生したんですね。

3. 若者に好まれる大会設計

というわけでFormula Eの大会は若者にウケる大会設計がなされています。ではでは、若者にウケる大会設計ってどんなものなのか、ここから詳しく見ていきましょう。

3-1. レース時間が短い!

Formula Eは、1レース=45分+1周とレース時間が短いという特徴があります。

F1の場合は、トップ選手がゴールするのに1時間30分~2時間かかります。Formula Eは約半分の時間でレースが終わるということです。(出典:FIA  | F1

Formula Eのレース時間がF1などのガソリンで動く従来の自動車レースよりも短いのは、電気自動車の電池の持続時間が原因です。(出典:FIA | FORMULA E AND FIA RELEASE DETAILS ON NEW RACE FORMAT AND CALENDAR FOR SEASON FIVE

この短いレース時間が、結果的に若者にウケる大会設計につながったってワケです。

なぜなのか?それは、現代の若者の集中力持続時間に関係してくると考えられます。JETROの調査によると、ミレニアル世代(26~41歳)の集中力持続時間は 12 秒、それに続くジェネレーション Z(6~25歳)のそれは 8 秒なのだそうです。若者の集中力持続時間は短いと言われているのですね~。(出典:JETRO | 次世代を担う「ミレニアル世代」「ジェネレーション Z」-米国における世代(Generations)について-

集中力継続時間が短いということは、スポーツ観戦を含む様々なコンテンツへの消費にかける時間に影響してきます。つまり、消費するのに何時間もかかるコンテンツは若者に好まれない可能性が高いということです。

YouTubeは60秒以下のコンテンツを投稿するYouTubeショートという機能を2021年7月から開始しています。さらに、最近日本のテレビ局は1時間ドラマを5~10分程度にまとめたものをYouTubeに投稿するなど、多くのコンテンツが短縮化される傾向にあります。スポーツ界でも、動画配信サービスやスポーツチームが1試合を5分程度にまとめたハイライト動画を投稿していますよね。(出典:DIAMOND online | TikTokがついに動画の時間制限を「3分」へ延長、動画系SNSの戦国時代を制すのは?、YouTube | いよいよ日本で YouTube ショートが始まります

最近では、多くの人気コンテンツが短縮化されている。Formula Eの場合は電池の持続時間の都合でレース時間が短くなっていますが、それが結果的に現代の若者の集中力にフィットしたコンテンツになったということですね。

3-2. レース開催地が都会!

そしてFormula Eのレース開催地は、都市部の市街地です。Formula Eの観戦者以外にも多くの人が行き交うような場所がレース開催地になっています。

2020-21シーズンは、アメリカ・ニューヨーク、イギリス・ロンドン、イタリア・ローマなどの合計8都市でレースが開催されました。

下の写真は2021年7月にロンドンで開催されたレースの一場面。レースコースの真横には電車の線路が見えます。さらに、写真の奥を見るとビルが並んでいますね。これだけでもロンドンの市街地で開催されたことがわかります。

(出典:YouTube | ABB Formula E

これまでの自動車レースは、市街地から離れた所で開催されていました。というのも、F1などのエンジンで動く従来の自動車レースでは、車が出す排気音が非常に大きいため、人が多く集まる都市部の市街地では開催しづらいという大前提があります。移動手段の選択肢が限られる土地でのレースには10代20代の若者が気軽に行くことが難しかったというのも、従来の自動車レースのファンに若者が少ない一因ではないかと思われます。

しかし、Formula Eは、アクセスの良い都市部で開催されます。言わずもがな田舎で開催されるレースに行くよりも交通手段が豊富です。電車、バス、タクシー、自転車で行けてしまうなんてこともあるでしょう。移動手段の選択肢が限られる若者にとって気軽に見に行けるレースなのです。また、都市部の市街地には様々な目的で若者が集まります。ショッピングに行ったついでにFormula Eに来てみた、なんていうすごくライトなファン層も掴むことができそうです。

アクセスの良い&気軽に行ける都市部の市街地で開催することで、多くの若者に気軽に来てもらえるようにしているみたいですね。

3-3. レースに新たな楽しみ方を!

3-3-1. ファンブースト

ファンブーストというのは、ファンの人気投票で1~5位を獲得した5名の選手のみにエキストラパワーが与えられるというものです。簡単に言えば、車がパワーアップするっちゅうことです。エキストラパワーが与えられるのはほんの数秒ですが、拮抗したレース状況においては大きな力を発揮するそうです。

自分の投票が直接選手の力になるというゲーム的要素をレースに加えることで、集中力の続かない若者を飽きさせないというレース設計の意図が見えます。

投票は、Formula Eのアプリ、もしくはFormula EのHPからできるということなので、デジタルネイティブ世代の若者は気軽に投票できますね。(出典:ABB Formula E | FANBOOST

また、自動車レースや他のスポーツの応援をしたことがある方なら、「声を出したり、旗を振ったりして選手を応援しているけど、この応援がほんとに選手の力になっているのだろうか?」と一度は考えたこともあると思います。もちろん、精神的に選手の力になっていると思って応援してますし、多くのスポーツ選手がそう言っています。このファンブーストは従来の応援とは違いわかりやすく、選手の力になれるという画期的な応援方法ですね。

3-3-2. アタックモード

アタックモードというのは、レースコースに設けられたアタックゾーンというところを通ればエキストラパワーが与えられるというシステムです。エキストラパワーを得た車は、もちろんスピードアップできます。

↓の絵で赤くなっている部分がアタックゾーン。レースコースのほんの一部分です。

(出典:YouTube | ABB Formula E

しかし、このアタックゾーンを通った全選手の車がパワーアップするわけではありません。エキストラパワーを得るには条件があります。最短ルートから外れた箇所を通過しなければならないのです。

↓の絵はアタックゾーンの中を拡大したものです。緑の矢印が最短ルート。赤の矢印に示されたルートを通れば、エキストラパワーを獲得できるのです。

(出典:YouTube | ABB Formula E

自動車レースで、ある指定の場所を通れば車がパワーアップする…。皆さんも経験したことあるような気がしませんか…?

そうです。あの任天堂のマリオカートです。実は、Formula Eのアタックモードはこのマリオカートから着想を得たとも言われているんです。(出典:motorsports.com | フォーミュラE、”アタックモード”運用法発表。日本のゲームを参考に!?

(出典:YouTube | Nintendo 公式チャンネル

こんなゲーム的要素も加えて若者を飽きさせないというレース設計になっているんですね。

3-3-3. DJでパーリナイ!

実はFormula Eには、専属のDJがいます。彼はEJという名前で活動しています。EJは、世界各地で開催されるレースに訪れ、レース開始前後、そしてレース中にも音楽を流します。

前述しましたが、Formula Eはレース中に車が出す音が非常に静かです。よって、今までの自動車レースではできなかったレース中の会場に音楽を流すということができるのです。

(出典:ABB Formula E | EJ

EJが会場で流す音楽は、若者向けの流行りのもの、イケイケの盛り上がるものばかりで若者が楽しめるような音楽になっています。さらに、EJのプレイリストが作成され、Spotifyなどのストリーミングサービスで聴くことができるようになっています。(出典:ABB Formula E | EJ

EJとともに働くFormula Eの音楽チームは、”Formula Eは若者を集めたい大会、音楽があることでレースに飽きさせない”といったことを言っています。(出典:YouTube | ABB Formula E

4. レース外でも若者を取り込むための施策

Formula Eは、レースでも若者を取り込むために様々な施策を実施しています。

4-1. インフルエンサーの起用

Formula Eは、広報パートナーとして25名ほどのインフルエンサーを起用しています。そのメンバーは世界で活躍する様々なバックグラウンドを持ったインフルエンサーで構成されています。

例えば、以下の3名のインフルエンサーは特に影響力の大きいインフルエンサーとして紹介されています。左のBiminiという人は、イギリスで人気の次世代ドラッグクイーンを発掘するテレビ番組で人気を得たインフルエンサー。真ん中のJosh Denzelは、人気恋愛リアリティ番組に出演し人気になった人物。右のJoe Wellerは、チャンネル登録者数537万人の超人気YouTuberです。(2021年10月1日時点)

(出典:Instagram | biminibabesjoshdanzeljoeweller より作成)

ドラッグクイーン発掘番組、恋愛リアリティ番組、YouTubeは全て10代20代から絶大な人気を得ているコンテンツです。まさに、Formula Eが獲得したいファン層から人気があるインフルエンサーが選ばれているようです。

さらにJETROの調査によると、ジェネレーション Z(6~25歳)の若者はモデルや俳優、スポーツ選手等の有名人よりも、インフルエンサーのほうが信用できるという人が多く、SNSインフルエンサーによるマーケティングを好む傾向があるそうです。(出典:JETRO | 次世代を担う「ミレニアル世代」「ジェネレーション Z」-米国における世代(Generations)について-

Formula Eは、より若者への訴求力の強いインフルエンサーを起用することで若者を取り込もうとしているようです。

(出典:ABB Formula E | THE OFFSET

4-2. eスポーツも織り交ぜて

Formula Eは若者をファンに取り込むべく、若者に人気のeスポーツに目をつけます。eスポーツのファン層は若年層が中心で、61%が18-34歳だそうです。まさにFormula Eが獲得したい10代20代の若者が多いんですね。(出典:Ohio University Online Graduate Degree Programs | Brand Sponsorship: How Marketers are Playing to Win in Esports)

そんなeスポーツファンにリーチするため、Formula Eはeスポーツ大会を開催しました。コロナ渦に開催された予選には一般のゲーマーも参加。勝ち抜いた24選手によって「Formula E: Accelerate」という大会が開催されました。

実は、この大会はリアルとバーチャルの融合で、eスポーツファンをFormula Eファンに取り込もうとしています。予選を勝ち抜いた24名のFormula E: Accelerateの選手は、リアルのFormula Eチームに2名ずつ振り分けられます。Formula E: Accelerateのレースで獲得したポイントは、リアルのFormula Eチームに加算されるという仕組みです。自分の応援していたeスポーツチーム≒Formula Eチームがその後どんな活躍をするのか気になり、リアルなFormula Eも観るっていう仕掛けですね。

Formula E: Accelerateで優勝した選手は、リアルなFormula Eの会場でレーシングカーに乗ることができる特典が与えられます。これも、リアルとバーチャルの融合ですね。(出典:ABB Formula E | Formula E: Accelerate esports competition sparks search for next-gen electric racing stars

さらに、より多くのeスポーツファンの若者を取り込むため、Formula Eは4種類の一般向けゲームをリリース。ゲームは携帯向けアプリからビデオゲームのソフトまで幅広いゲームがあります。(出典:ABB Formula E | GAMING

(出典:ABB Formula E | GAMING

5. 環境への取り組み

繰り返しにはなりますが、Formula Eで走る自動車は電気自動車で排気ガスを排出しません。つまり、エコな自動車レースってわけです。

エコな自動車レースとしてFormula Eは、環境問題への取組を積極的に行っています。その取組は国連と共同のものから、独自に行っているものまで、かなり幅広い&多くの取り組みがあります。全部を紹介しているとこの記事が終わらないので、ここでは一部を紹介します。

Formula Eのパートナーの中に、国際連合の機関として環境に関わる活動をすすめる国連環境計画(UNEP)がいます。Formula Eは、UNEPの活動の1つである#BeatAirPollutionキャンペーンに参画しています。#BeatAirPollutionキャンペーンはその名の通り、大気汚染物質を減らし、地球温暖化解決を目的とした取り組みです。Formula Eは、電気自動車と再生可能エネルギーの普及を進めることでこのキャンペーンに貢献しているようです。(出典:国際連合広報センター | 国連環境計画、ABB Formula E | Formula E: The race for cleaner air

Formula Eが独自に行っている環境の取り組みには、世界各地で環境教育イベントの開催、Formula Eで排出されるCO2の削減など多くの取り組みがあります。Formula Eで排出されるCO2削減のためには、大会に必要な物品の運送方法を見直したり、大会で出たプラスチックボトルは全てリサイクルするなどを行ったそうです。その結果、6シーズン目(2019-20)のFormula Eは前シーズンから55%CO2削減に成功したそうです。(出典:ABB Formula E | NET ZERO CARBON

エコな自動車レースとして、自らも環境問題の解決に取り組むFormula E。実は、環境問題に積極的なのには隠れた理由がありそうです。

Formula Eがファンにしたい若年層は、環境問題にとても敏感な世代です。世界の18歳から35歳を対象とした調査によると、約49%が「世界で影響している最も深刻な問題は何か?」という質問に対して、「気候変動や自然破壊」と回答したそうです。この回答はすべての回答の中で最も多い回答だったそうです。(出典:環境省 | 気候変動問題をはじめとした地球環境の危機

さらにデロイトが最近発表したレポートによると、「企業が最近コロナ対策に集中しすぎて、環境問題に対する取り組みが疎かになっていることが心配だ」という意見に賛成したミレニアル世代(26~41歳)とジェネレーション Z(6~25歳)は60%だったとか。 (出典:Deloitte | A call for accountability and action

つまり、今の若者は環境問題に対する意識が高いだけではなく、経済活動を行う主体である企業・団体が環境問題に対する取り組みを行っているかという点まで気にしているということです。企業や団体が若者からの支持を得るには、環境問題に積極的に取り組む必要があるってわけです。Formula Eが環境問題に積極的に取り組む目的の1つが、若者からの支持を得るためだったりする可能性は大いにありますねぇ。

6. スポンサーにはどんな企業がいるの?

では、Formula Eのスポンサーにはどんな企業がいるのでしょうか。Formula E・2020-21シーズンに参加した全12チームのスポンサーを調査しました。(2021年9月30日現在)

6-1. 若者がメインターゲットの企業

スポンサー企業の1つに、楽天Viberがありました。楽天Viberは無料のメッセージングアプリ。世界を見ると、ラインよりも利用者が多いアプリです。

日本では10代と20代の若者のSNS利用率はともに約90%と、ほとんどの若者がSNSを利用しています。そして年代が上がるごとにSNS利用率は下がる傾向にあります。これは世界全体を見たとしても大差はないでしょう。

つまり、SNSの一つである楽天Viberも、利用者のボリューム層は当然10代20代の若者だと考えられます。というわけで、楽天Viberが自社のターゲット層が多くファンにいるFormula Eにスポンサーしているというのも納得ですね。(出典:PR TIMES | 「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021」

6-2. 離れてしまった若者を取り戻したい企業

先程の楽天Viberとは違い、離れてしまった若者の顧客を取り戻したいであろう企業もFormula Eチームのスポンサー企業に含まれていました。

実は、世界各国でアルコールを飲む若者が減っているといわれています。例えばイギリス。イギリス国家統計局によると、2005年に全くアルコールを飲まなかったイギリスの16~24歳は約19%、2017年には約23%まで増加しています。イギリスではアルコールを全く飲まない若者が増えてきているのです。(出典:Office for National Statistics | Adult drinking habits in Great Britain: 2017

さらに、アメリカでも同じ傾向が見られます。CNNによると、アメリカでアルコールを全く飲まなかった若者が2002年には20%でしたが、2018年には28%まで増えています。アメリカの若者もイギリスと同じくアルコールを飲まない若者が増えてきているようです。(出典:CNN | Young Americans more likely to say no to alcohol, study finds

ここまで見れば、世界各国でアルコールを飲む若者が減ってきているというのは本当のようですね。そして、アルコールを飲まない若者が増えることで困る企業は、若者を取り戻すために様々な手段を講じるでしょう。Formula Eにスポンサーしている企業にも困っているであろう企業がいました。それは、Heinekenです。

HeinekenはFormula Eとスポンサーシップ契約を結び、若者にリーチするべくアクティベーションを実施。会場内に屋根の材質、カップなどを再利用資源でまかなったGreener Barなるオシャレバーを設置したのです。このバーは全てが環境に配慮されてつくられており、環境意識の高い若者からのHeinekenに対する好感度が上がること間違いなし。さらに、オシャレかつ”インスタ映え”するので、SNS大好きな若者からのウケは良かったに違いありませんね。

7. おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回の記事は、Formula Eという電気自動車レースがなぜ若者ファンを獲得したいのか、若者ファン獲得のためどんなことをしてるのか。そして、Formula Eと目的を同じくするスポンサー企業について書いた記事でした。

下のグラフは世界の自動車販売台数を予測したグラフです。見ていただくと分かるように、世界の自動車販売に占める電気自動車の割合は、今後急激に高まることが予想されています。

(出典:大和証券 | EV化がもたらす変化

現段階では、まだまだF1などの自動車レースのほうが圧倒的に人気があります。しかし、今後電気自動車の普及が進むにつれ、人々の関心が従来の自動車レースから電気自動車レースのFormula Eに移っていくでしょう。Formula Eが自動車レース界の王者になる日も遠くはないのではないでしょうか。

Formula Eのこれからのさらなる発展を期待しつつ、この記事を終わりたいと思います。今回もお付き合いいただきありがとうございました。