スポーツ観戦中、みなさんの手元には何があるでしょうか?ワタシなんかは場内で買ったコーラとか飲み物は必ずそばに置いときます。加えて、必ず持っていくものがあります。それはお菓子です。特にじゃがりことアルフォートはよく持っていきます。試合前とかハーフタイム中に売店が混んでて食べ物を買えない可能性もあるので、必ず持っていくようにしています。

今回はこの食品とスポーツについて書こうと思います。具体的には食料品メーカーが日本のスポーツにスポンサーした事例をご紹介したいと思います。

実はSPOVAでは毎日せっせと国内外のスポンサーアクティベーション事例を調査、ストックしています。だいたい2003年から直近まで約2万件以上の事例を社内データベースに溜め込んでいます。

我々はこのデータベースを使って、

「どんなスポンサーアクティベーションの効果が大きかったか?」

「海外のスポーツ先進国では企業がどのようなスポーツの使い方をしているか?」

「スポンサー企業の業種、スポーツ競技、地域といった分類ごとに、スポンサーの取組に特徴はあるのか?」

「A企業と、競合のB企業のスポンサー事例を比べると、SNSでの反響の違いはあるのか?」

などの分析を行っています。

今回は、このデータベースの中から国内食料品メーカーJリーグチームにスポンサーした事例を取り上げます。中でも“過去5年でSNSの反響が大きかった事例Top5”をご紹介します。

1. SPOVA DB(データベース)とはなんぞ?

国内食料品メーカーのスポンサー事例をご紹介する前にこのデータベースにちょろっと説明しておきます。

このデータベースの機能をカンタンに表現すると、「国内外のスポンサー事例を集約、分析したシステム」です。名付けて(仮)SPOVA DB(データベース)。現時点で、名前は仮称です。もしかしたら「名前だっせぇ」と思った方がいらっしゃるかと思います。繰り返します。名前は仮称です。

ところで、みなさんも過去にこんなこと思ったことないでしょうか。

「あの会社はどのチームにスポンサーして、どんなことやってんの?」

「海外の有名クラブはどんなスポンサー企業を獲得してんの?」

でも同時にこうも思ったのではないでしょうか。

「スポンサー事例を探して分析すんのだるいわぁ…」

我々のSPOVA DBはそんなアナタの作業をラクにするデータベースかな、と思います。

下の図はシステムのトップページです。上段には国内、下段には海外事例が並べられ、最新スポンサー事例を一覧で見ることができます。

そしてこの2万件以上の国内・海外事例を「企業・業界」「コンテンツホルダー(スポーツチーム・団体など)」視点で分析することができます。

要はこういうことです。企業・業界分析では、業界や企業別にスポンサーしているスポーツチームを見ることができます。企業・業界別にどのスポーツチーム・団体にスポンサーしているか?がわかります。

逆にコンテンツホルダー分析では競技種目とそのスポーツチーム別にスポンサーを見ることができます。競技・スポーツチーム・団体別にどんなスポンサーを獲得しているか?で事例を抽出できるってわけです。

今回の記事では前者の「企業・業界分析」に絞ってご紹介します。

1-1. 企業・業界分析で何ができる?

繰り返しますが、企業・業界分析では企業・業界別にどのスポーツチーム・団体にスポンサーしているか?を見ることができます。「国内」ボタンをポチっとすると以下の画面に遷移します。

ここでは企業・業界別にスポンサー事例を絞ることができます。例えば企業で絞る場合はこんなかんじです↓。

例えばみんな大好きPUMAで絞ってみます。すると↓こんなふうに表示されます。PUMAが国内のどんなスポーツチームにスポンサーしているのか、が上段に。下段にはそれに紐づく事例が一覧で並ぶっちゅうわけですね。

企業よりももう少し大きい単位の業界で絞る場合はこんなかんじ↓でフィルタリングできます。

例えば今をときめく情報・通信業で絞るとこんなかんじです↓。事例としてはDAZN、PayPay、LINEなどのスポンサー事例が表示されてますね。

1-2. 社会の注目度を表す興味スコア

下段に表示されるスポンサー事例ですが、表示される順番は日付が新しいものから、というわけではありません。表示順を決めるのは下段の右にある興味スコアなるものです。

これは各記事の発信元SNSアカウントが投稿した当該記事に対して、どれだけエンゲージメント(コメント、リツイート、いいね)があったか、で算出しています。各エンゲージメント指標はその重要度に応じ、統計学的に妥当と考えられる調整をしてスコア化しています。

ごちゃこちゃと難しく語りましたが、要は“どんだけSNS上で反響があったか”を測る指標ってわけです。正直なところ、スポンサー事例は山ほどあります。海外までその範囲を広げればその数は膨大なものになります。そしてその多くは世間からまったく注目されない事例だったりします。そういった事例を見るよりも、社会的な注目を集めた事例を上から表示できる。それが興味スコアってわけです。

ここまで説明したことと同じようなことが海外事例についてもできます。↓にあるように海外のスポンサー事例における企業(&業界)で絞り込むことができるってわけであります。

2. 食料品メーカーによるスポンサー事例が多い理由:スポーツ観戦と飲み食いはセットです

ここまででSPOVA DB(データベース)について「ほぅ。こんなシステムなんか」とご感心いただければ幸いでございます。

ちなみにデータベースを見ると食料品メーカーがスポーツチームにスポンサーしている事例はかなり多いです。それもそのはずで、スポーツ観戦には必ずと言っていいほど何かしらの飲食が伴います。

↓はスタジアムやパブリックビューイングで観戦する人が現地で購入するモノについてのアンケート結果です。現地で「何も買わねぇ」って答えた人は全体のわずか12.6%。つまり90%ぐらいの人は現地で必ず何かを買うわけです。じゃあ何にお金を使うのかって言うと、多くの人が飲食にお金をかけるようです。食べ物・軽食71.7%お菓子・おつまみ45.9%アルコール飲料41.8%ノンアルコール飲料41.1%となっています。応援用グッズは33.3%なので、飲食購入率の高さがわかりますね。

では現地ではなく、自宅で観戦する人はどうでしょうか。こちらについても同じような傾向が見られます。↓のグラフを見ると、スポーツ観戦時に食事をしない人はわずか6.1%にとどまります。残りの約94%の人のうち、出前をとる人が62.6%、デパートなどで何かを買ってくる人が51.2%となっています。つまり、かなりの割合の人が料理や飲物を外部から購入し、観戦のお供にしているわけです。

このように飲食という行為がスポーツ観戦と相性が良いわけです。だから食品メーカーからのスポンサー事例が多いわけですね。

3. 興味スコアTop5:国内のスポンサー事例(食料品メーカー編)

ではではここからは興味スコアの高かった食料品メーカーによる国内スポンサー事例Top5をご紹介します。今回はJ1リーグが対象です。2020年8月まで過去5年間の事例を対象に分析した結果になります。

ではでは、5位から順にご紹介していきます。

3-1. 【5位】【情報更新】10/6(土)Vgirl2018開催!ヴィッセル神戸が好きな女性はノエスタに集合![2018年9月28日]

まず5位は明治ヴィッセル神戸にスポンサーした事例です。ヴィッセルは女性ファンに向けた「Vgirl2018」というイベントを開催しました。このイベントにおいて、明治はヴァームダイエットというドリンクをプレゼントとして配布しました。

(出典:Twitter | Twitter

女性向けのイベントにて女性向けのドリンクをプレゼントという、ターゲットがぴったりな企画が多くの反響を呼んだのかもしれません。

3-2. 【4位】11/2 広島「KAWAハロー!ウィンPARTY」開催のお知らせ[2019年10月21日]

興味スコアランキング4位は、ロッテ川崎フロンターレにスポンサーした事例です。

川崎フロンターレはロッテ協力のもと、2019年に行われたホーム広島戦にて「KAWAハロー!ウィンPARTY」なるハロウィンイベントを開催しました。マジシャンのMr.マリックによるマジックショーからフロンターレの選手による仮装など、23ものハロウィーンに関する企画が実施されました。

(出典:Twitter | Twitter

来場者は仮装したスタッフに「トリックオアトリート!」と伝えるとロッテのお菓子がもらえたようです。他にも空気を使ったロケット砲を”ロッテキシリトールガム”の的に向かって打つアトラクションや、お菓子リュック作りなどロッテの商品を前面に押し出した企画が多くありました。

さすが、ユニークなアクティベーションで毎度話題を呼ぶフロンターレですね。

3-3. 【3位】2019JリーグYBCルヴァンカップ「優勝記念グッズ」販売のお知らせ[2019年10月26日]

3位は、またまた川崎フロンターレ。スポンサーはヤマザキビスケットです。

2019年フロンターレは、クラブ史上初のルヴァンカップタイトルを獲得しました。これを記念してグッズが販売されました。この優勝記念グッズ販売の施策が反響を呼んだってわけです。

(出典:Twitter | Twitter)

優勝記念パッケージの「Levain PRIME」や純金ビスケットなどファンにはたまらないようなグッズが勢揃いです。ちなみに、純金ビスケットは10万円もしたそうです。超超高級ビスケットですね…

(出典:KAWASAKI FRONTALE | 2019JリーグYBCルヴァンカップ「優勝記念グッズ」販売のお知らせ

個人的には、「Levain PRIME」の約2倍サイズの折り畳みクッションが気になります。表面と裏面は優勝記念パッケージになっていて、開くと優勝した時の写真がデザインされています。「初優勝記念の思い出はいつまでもLevain PRIMEとともにソファーの上に…。」という一言と共に紹介されています。

3-4. 【2位】森永製菓株式会社 オフィシャルパートナー決定のお知らせ[2019年4月8日]

2位に輝いたのは、森永製菓横浜F・マリノスのスポンサー契約締結についてです。このスポンサー契約で、森永製菓はマリノスeスポーツチームの選手のユニフォームの右鎖骨とジャンバーにロゴを掲出することになりました。長時間絶え間ない集中力が試されるeスポーツにおいては、まさに10秒チャージがピンポイントでニーズに刺さったのではないでしょうか。

3-5. 【1位】横浜F・マリノス令和チャレンジ!豪華賞品が当たるTwitter投稿キャンペーンを開催[2019年5月1日]

そして1位は、横浜F・マリノスパートナー各社令和元日に行ったキャンペーンが、1位に輝きました。例えば食料品業界の日清オイリオはこのキャンペーンに自社商品セットを賞品として提供したようです。

(出典:Twitter | Twitter

どれも日常的に使う商品なので、当たったら嬉しいですね。

このキャンペーンの応募者は、Twitterに令和にチャレンジしたいことを書き、ハッシュタグ「#fmarinos」と「#令和チャレンジ」を付けることで応募ができました。こんな「素敵やん。」なチャレンジを投稿している方も。

(出典:Twitter | Twitter

令和元日にキャンペーンを打つという話題性、そして豪華な賞品がGETできるということが反響につながったと思われます。

3-6. 【まとめ】興味スコアランキングTop5

以上が、国内の食料品の企業がJ1チームと行った取り組みTop5でした。

実は食料品の場合、お客さんに「商品を知ってもらってること」がすごく大事だったりします。↓はオンラインでモノを購入する際に、どのくらい検討するのか、を表したものです。

(出典:KPMG | The truth about online consumers より作成)

ご覧の通り、購入までの検討時間は食品が圧倒的に短いのがわかります。要は、消費者はあまり検討せずに「あ~知ってるこれ。買お!ポチっ」と半ば衝動買いっぽく購入するのです。確かに電子機器だったら機能の比較、ファッションだったらサイズ感の検討が必要です。でも食品の場合は比較的価格が安いこともあり、購入という行動までのコンバージョンのハードルが低いんですね。なので、とにかく商品を知ってもらっていること。これが大事なんでごんす。

こういう観点で見ると、「話題になって消費者に知ってもらう」ための施策が多かった気がします。1位の令和チャレンジなんかもTwitter上で話題になることを狙ったものです。2位のeスポーツを使った施策もジェネレーションZ、αという若者世代に知ってもらうための施策ですね。

4. おわりに

以上、SNSで注目度の高かったスポーツ活用事例(食料品編)でございました。今後も別の業界の分析記事を書いていきます。

もし「このデータベース興味あるなぁ」って方がいましたらご連絡いただければ幸いです。「サクッと○○なスポーツ×企業の取組事例探したいな」と思う方には有益なサポートができるかもしれませんので、ぜひぜひお気軽にお問い合わせください。