皆さん、お家にYogiboはお持ちですか?「人をダメにするソファ」というフレーズで流行り始め、今ではビーズソファと言えばYogiboなんて感じで、ブランドを確立していますよね。ちなみに、ワタシも愛用させていただいております。
そんなYogiboは最近アメリカ本社を買収しちゃうほど絶好調なブランドです。今回の記事ではYogiboはなぜ日本で成功をおさめることができたのか?その秘密に迫ります。
目次
1.Yogibo誕生~日本上陸
まずは、Yogiboの誕生~日本上陸までをざっくりとご紹介します。
Yogiboは、アメリカ発のD2Cソファブランド。創業者・Eyal Levyのwife(妻)への愛から生まれたブランドです。というのも、Levy氏の妻は普段からうつ伏せで寝るのが好きだったが、妊娠によってうつ伏せで寝られなくなったのだそう。そんな彼女の悩みを解決すべく、大きなビーズソファをLevy氏が作った。これがYogibo誕生の瞬間です。
それをきっかけに、Levy氏は会社勤めを続けながら自宅でビーズソファの製作をし、販売を開始しました。売れ行きは好調で、2009年には会社を立ち上げるまでになりました。(出典:Yogibo | Why Yogibo、Yogibo Brand Story)
会社設立から3年後の2012年には、アメリカのニューイングランド地方に9店舗を展開し、約70名の従業員を抱えるまでに成長。Levy氏は、2009年~2012年の間の年間成長率は200~300%だったと言っています。(出典:The Telegraph | Yogibo, a startup that sells beanbag furniture, takes the hands-on route)
2013年にはアメリカの大手スポーツ専門チャンネルであるESPNにて、”NFLを観るのに欠かせないアイテム”として紹介されました。このESPNは2013年の第四四半期で約2億3千万のアメリカ人(全世帯の89%)が見ているほど、とても人気・影響力のあるメディアでした。そしてこの年、NFLは最も観られたスポーツに選ばれています。そんなNFLを観るのに欠かせないってことは、大半のアメリカ人にとってMust Buyアイテムってことですね。2014年にはニューヨーク最大のショッピングモール・Destiny USAへ出店。あれよあれよと、アメリカ国内での人気を獲得していたことが伺えます。(出典:ESPN | ESPN, Inc.: 2013 in Review、Gearing up for the home games、Sports Media Watch | 2013 Ratings Wrap: NFL Dominates List of Most-Watched Sporting Events、syracuse’s Logo | Retailer of bean bag furniture coming to Destiny USA this year)
この様に、アメリカでの人気を獲得しつつある時に、株式会社ウェブシャーク現CEOの木村氏がYogiboをネットで購入したそうです。当時日本でYogiboを販売している企業が無いことを知った高野氏は、「すごく良い商品なのに、なぜ日本で販売しないのか。もし誰もやらないなら、・・・私たちにやらせてもらえないか」とLevy氏に直談判したそうです。株式会社ウェブシャークがIT企業でECサイト運営の基礎があったこともあり、日本総代理店契約が締結され、Yogiboは2014年11月に日本に上陸しました。(出典:PR TIMES | 米国より、快適で動けなくなる魔法のソファ 「Yogibo(ヨギボー)」日本初上陸。公式ウェブストア開店。)
ここまでで、Yogiboの誕生~日本上陸までをざっくり分かって頂けたかと思います。ここから日本上陸したYogiboが成功するまでのストーリ&戦略を見ていきたいところですが、ちょっと待ってください。皆さん冒頭の「Yogiboとは、アメリカ発のD2Cソファブランド」という文章を覚えていますか?Yogiboの日本戦略を紹介する前に、まずは”D2C”という言葉について簡単に説明しておこうと思います。
2.D2Cってなんだっけ?
D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、メーカーがダイレクトに消費者と取引をするビジネスのことです。2000年代後半にアメリカで発展したビジネスモデルで、日本でも近年盛り上がりを見せています。(出典:SB Payment Service | D2Cとは何か?従来の販売モデルとの違いやメリット・デメリットを解説、NRI | 用語解説)
↓のグラフは、日本のデジタルD2Cの市場規模、アメリカのD2CブランドのEC売上の市場規模を表しています。定義に若干の違いがあるとは思われるものの、いずれもD2Cブランドのオンライン市場規模を示している数字です。
D2Cというビジネスモデルを発展させたアメリカでの市場規模は、2016年時点で約4兆8千億円※、2021年には約17兆円※にまで成長。2024年には約28兆円※の規模まで大きくなると予測されています。すごい成長の仕方をしていますね。超キテる市場ってわけですね。※換算レート:134.2円(2022年6月14日時点)
日本での市場規模も、2016年に約1兆4千億円、2021年に約2兆4千億円と右肩上がりに伸びており、2024年には3兆円に達すると予測されています。日本でもD2Cビジネスは着々と伸びており、今後の成長が期待されているビジネスモデルなんです。
2-1.D2CとB2Cの違い
D2Cと似たような言葉の1つにB2Cっちゅうのがあります。こちらは「Business to Consumer」の略で、メーカーと消費者がする取引のことを指します。D2CもB2Cも、いずれもビジネスにおけるメーカーと消費者の関係性を示す用語ですが、この2つの大きな違いは、仲介業者を通すか否かという点です。
D2Cは、先程も説明した通りメーカーがダイレクトに消費者と取引をします。D2Cブランドは自分たちで製造~販売まで一貫してやっちゃうってわけです。(出典:SB Payment Service | D2Cとは何か?従来の販売モデルとの違いやメリット・デメリットを解説、NRI | 用語解説)
一方のB2Cは、メーカーから卸や小売といった業者を介した先にようやく消費者との取引が成立します。こちらは従来のビジネスモデルを想像してもらえばと。
図で見てみると、こんな感じです。
3.Yogiboの日本戦略
Yogiboの取締役の子猿氏はあるメディアで、
「私たちは販売促進するための施策はマーケティング、
広告宣伝するための施策はブランディングとそれぞれを切り分けて考えています。」
と、Yogiboの日本戦略に聞かれた際に話しています。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
これはどういった戦略なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
3-1.マーケティング戦略
まずは、マーケティング戦略から。
3-1-1.ポップアップ戦略
株式会社ウェブシャークは、日本総代理店になってすぐの2014年11月からまずはECでYogiboの販売を開始。それだけでなく、同社はYogiboを日本で売っていくためにポップアップ戦略というものをスタートさせます。この戦略は、ショッピングモールにYogiboのポップアップストアを展開するというものです。
ポップアップストアというのは、数日~数週間程度の比較的短い期間限定で開設されるショップのことです。ショッピングモールなどの商業施設なんかで見たことあるかと思います。(出典:ストア・エキスプレス | ポップアップストアとは? 出店する目的やメリットを解説)
Yogibo初のポップアップストアは、2015年2月大阪のあべのキューズモールというショッピングモールのエスカレーター横のスペースにオープンされました。狭いスペースですが、来店した人がYogiboを実際に体験することができるようになっているようですね。
株式会社ウェブシャークは、なぜポップアップ戦略をとったのか?それは、「低コストで、効率よくYogiboを知ってもらうため」だったようです。
ポップアップストアの特徴として、商業施設の余ったスペースなどに開き、オープン期間が短い、というのが挙げられます。つまり、出店企業側は家賃を抑えられるちゅうわけです。Yogiboを日本で販売し始めた当初、同社にはマーケティング活動を十分に行えるほどの資本がなかったそうなので、低コストで店舗を設けられるポップアップストアは都合が良かったみたいですね。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
また、同社がポップアップストア戦略で狙ったのは、短期間の出店を繰り返すことによって素早く日本各地を回り、効率よくYogiboという商品の認知を獲得するとともに、Yogiboという商品の気持ちよさであったり使い方といった機能性などを全国の人々に知って体験してもらうというのが目的であったと考えられます。
3-1-2.実店舗拡大戦略
ポップアップ戦略で、認知度を獲得したYogibo。この戦略と並行して、今度は常設直営店舗もバンバンとオープンしていきます。
先程あべのキューズモールに出店していたポップアップストア。これは2016年4月に同じショッピングモールで常設店舗へとリニューアルされました。(出典:Facebook | Yogibo Store あべのキューズモール店)
ポップアップショップも含む数にはなってしまいますが、2016年11月時点で全国に21店舗、2017年4月時点で36店舗、2018年7月時点では約60店舗。と、直営店舗数拡大の勢いは凄まじく、2022年現在では92店舗を展開しています。(出典:PR TIMES | 2年で50,000人がダメになったビーズソファ”Yogibo” 11月 新たに4店舗オープン、テックビューロと「人をダメにするビーズソファYogibo(ヨギボー)」がブロックチェーン技術と位置情報を活用したアイテム集めキャンペーン「YogiboでGO」を開催、【沖縄県”初出店”】快適すぎて動けなくなる魔法のビーズソファ「Yogibo Store イオンモール沖縄ライカム店」OPEN 7/21(土)〜、Yogibo)
2022年1月時点の販売比率は、実店舗65%、EC35%となっています。(出典:東洋経済ONLINE | ソファの黒船「ヨギボー」買収した日本企業の勝算)
Yogiboの日本におけるマーケティング戦略として、「ポップアップ戦略」、「実店舗拡大戦略」を行ってきた株式会社ウェブシャーク。コロナ禍の影響もあってか、今後はECの強化を行っていきたいみたいです。まずは販売比率を実店舗50%、EC50%を目標とし、その後ECが実店舗を超えることを目指していきたいそうです。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ、東洋経済ONLINE | ソファの黒船「ヨギボー」買収した日本企業の勝算)
3-2.ブランディング戦略
続いて、ブランディング戦略を見ていきましょう。
章の冒頭でご紹介した通り、Yogiboの日本戦略は
「私たちは販売促進するための施策はマーケティング、
広告宣伝するための施策はブランディングとそれぞれを切り分けて考えています。」
という考えのもと、行われています。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
つまり、①販売促進のためにマーケティングを行う、②広告宣伝のためにブランディングを行う、の2つに分けられています。「3-1.マーケティング戦略」で、①についてはお話しました。ここからは②について、そしてこの2つを”それぞれ分けて考えている”という点にも注目していきたいと思います。
Yogiboが行っている広告宣伝の1つに、CMがあります。実はYogiboが打っているCMは、機能性や価格を伝えておらず、販売促進を行っていないのだそうです。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
例えば、NiziUが出演しているこちらのCM。激カワなNiziUのメンバー達が、気持ちよさそうにYogiboに寝るor座るところを映しているだけです。
価格も教えてくれていなければ、どこで買うことができるのか、そもそもこの気持ちよさそうな物体がなんなのかさえ紹介してくれていませんよね。このCMは、あくまで「Yogiboってなんか気持ちよさそう」というイメージを浸透させるために打っているのだそうです。
一方で、こちらのCM。(極端な例にはなってしまいますが、より分かりやすくするためにこちらを選ばせていただいております。他意はございませんので悪しからず。)
価格を明記、プランの契約方法、このプランで契約するとどのようなメリットがあるのかまで紹介しています。つまりこのCMは、広告宣伝と販売促進を兼ねているというわけです。他にも、洗剤のCMであればどれだけ汚れが落ちるのかとか、保険であれば若かったら価格がお得ですとか、強弱はあれど購入をダイレクトに促すCMってのは結構ありますよね。
Yogiboは、広告宣伝と販売促進を分けており、広告宣伝はあくまでブランディングの一貫として行うというのを戦略として行っていることが分かります。(出典:DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
ここまでのYogiboのブランディング戦略、マーケティング戦略を顧客の購買行動プロセスを表すAISASモデルと並べてみてみると↓のようになります。
ブランディング戦略では、CMを使って興味を持ってもらい(注意)、「Yogiboってなんか気持ちよさそう」というイメージを持ってもらう(関心)。
マーケティング戦略では、実際に商品を体験してもらうことで購入を検討し(検索)、購入に至る(行動)。さらには、体験型のポップアップストア、実店舗によって口コミを獲得する(共有)。
Yogiboのブランディングとマーケティングを切り分けた戦略、AISASに当てはめてみるとその仕組みが見えてきましたね。
4.Yogiboのスポーツ活用法
そんなYogiboは最近、様々なスポーツ業界でも注目を浴びる存在です。RIZINの冠スポンサー、WEリーグのタイトルパートナーなどなにかと話題を呼んでいます。
↓は過去~現在までにYogiboが関わってきたスポーツ関連の団体や個人をリスト化、彼らとどのような関係性だったのかを記載しています。
このようにYogiboは様々な形でスポーツと関わっています。そしてこれは、実はこれまで見てきたYogibo日本戦略のうちの各戦略に活用されています。
「3.Yogiboの日本戦略」で見てきた、マーケティング戦略、ブランディング戦略はそもそも株式会社ウェブシャークが掲げる
ストレスのない社会を実現する
という企業理念のもとに展開されています。
先程までのYogibo日本戦略の上にこの企業理念は位置しているイメージです。
Yogiboはスポーツを目的にあわせて上手く活用しています。
4-1.企業理念の実現
まずは、Yogiboが企業理念の実現ためにスポーツを活用した事例から。
RIZINへのスポンサー事例から見てみましょう。YogiboがRIZINへのスポンサーを始めたのは新型コロナウイルスによる相次ぐ各イベントの中止・延期がきっかけだったと発表しています。RIZIN側はイベントを開催できず金銭面的に厳しい状況。ファンも大好きなRIZINを観戦できないというストレスが重なる状況の中、Yogiboがスポンサーすることで少しでもそれらの人々のストレスがなくなるように契約に至ったのだと考えられます。(出典:スポーツ報知 | 超党派議員が結集 RIZINが、新日が、修斗が…各団体も初集合 コロナピンチに最強タッグ結成)
実際に株式会社ウェブシャーク・CEOの木村氏がRIZINへの冠スポンサーを発表した際には、各種SNSが感謝のメッセージで溢れかえっていました。↓はTwitterの口コミを一部抜粋したものです。
Super GTという自動車レースの事例についても、新型コロナウイルスをきっかけにYogibo Racingというチームとしてレースへの参戦を決めています。CEOの木村氏は「我々はこの環境下に大きな苦戦を強いられている文化や興行に対し、それを支援する責務があると考えスーパーGTへの参戦を決めました。」とコメントしています。こちらも各ステークホルダー、そしてファンのストレスを少しでも取り除こうとする姿勢が理念実現に向けた活動であると言えそうです。
4-2.ブランディング戦略
Yogiboがブランディング戦略にスポーツをどう活用したのか。ですが、前提としてYogiboが行う全てのスポーツ支援・参加は多かれ少なかれブランディング戦略の要素が含まれています。
その中でも特にブランディング戦略の要素が強いと考えられるものをここでは紹介します。
4-2-1.X Games
まずは、株式会社ウェブシャークは本社買収後の2022年、アクションスポーツの国際競技会・X Games Chiba 2022へのタイトルパートナー契約を締結しました。目的としてはYogiboの「世界的な認知拡大、 並びにブランドイメージ向上」のため、と発表されており、具体的な訴求イメージは以下の内容から伺えます(出典:WEB-SHARK Inc。|X Games)
「スケートボード ・ BMX は東京五輪から正式種目として採用され、 日本人選手のメダルラッシュにより日本国内でも非常に注目されている競技となっております。 ストリートスポーツ競技を中心に、 音楽やアートといった多様でエッジの効いたカルチャーと融合している 「XGames」 は、 他スポーツにはない魅力を持つ唯一無二のスポーツ大会であり、 Yogibo の掲げる 「ファッショナブル ・ 最先端 ・ イノベーティブ」 に合致しており非常に親和性が高いと考えております。」
X Gamesでは、タイトルパートナーとして「X Games presented by Yogibo」という具合に常に企業名の露出がありました。X GamesはスケートボードやBMXなどのアクションスポーツの世界最大規模を誇る大会。Yogiboがスポンサーをした2022年の夏大会には18カ国から選手が集まり、HuluやYouTubeで配信、テレビ放送をした国もあったそうなのでYogiboは狙い通りに世界での認知拡大・ブランドイメージの向上ができたのではないでしょうか。(出典:hulu | 「X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo」Huluで全競技をライブ配信、見逃し配信も決定!、ESPN | Watch First-Ever X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo Live April 22 – 24 on the ESPN App and X Games YouTube Channel)
4-2-2.金谷拓実選手
Yogiboは、プロフォルファーの金谷拓実選手にもスポンサーをしています。金谷選手は日本国内だけでなく、アメリカなどの海外の大会にも出場している選手です。(出典:日本ゴルフツアー機構 | 金谷拓実)
Yogiboはスポンサーとして金谷選手と所属契約という契約を結んでいます。Yogiboはこの契約において、↓のように金谷選手の道具にロゴを掲出しています。さらに、ゴルフではメディアなどで取り上げられる際に所属が明記されることが多いです。通常のスポンサー契約よりもブランド名の露出が多い契約というわけです。
この金谷選手との所属契約は、Yoigiboの課題であるミドル層への認知拡大のためと発表されています。(出典:WEB-SHARK Inc. | プロゴルファー金谷拓実選手)
ミドル層とは、世代の呼び名です。ガッチリと定義があるわけではありませんが、だいたい30代後半~50代前半くらいの人たちのことを指します。Yogiboがこのミドル層への拡大のために金谷選手にスポンサーしたのはなぜか?ズバリ、ゴルフはミドル層からの人気が高いスポーツだからです。(出典:イーキャリアFA | 変わりつつあるミドル世代市場、中高年求人で成功する方法)
少し古いデータにはなりますが、2016年のゴルフ参加人口の年代割合を見てみると、30代が14.8%、40代が19.3%、50代が18.6%。日本のゴルフ参加人口の半分以上を30・40・50代で占めています。(出典:経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課 サービス産業室 | 令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(個別スポーツの需要喚起策可能性調査)報告書)
ミドル層からの人気が高いゴルフへのスポンサーを通してYogiboを露出していくことで、ミドル層への認知拡大を狙うというスポーツの活用法のようです。先程紹介したX Gamesへのスポンサーとはターゲットをずらしたブランディング戦略ですね。
4-3.企業理念の実現&マーケティング戦略
続いては、企業理念の実現&マーケティング戦略に活用した事例です。
Yogiboは、各種競技の試合会場にセンサリールームという設備の提供を行っています。センサリールームとは、主に感覚過敏の症状を持っている人のために試合会場に用意される部屋です。感覚過敏の症状を持っている人たちは音や光にとても敏感で、鳴り物や歓声などの大きな音や派手な照明によって安心してスポーツ観戦ができなかったりするそうです。そうした方たちが安心してスポーツ観戦を楽しめるために作られているのがセンサリールームです。これまでに国立競技場やPayPayドームなどの一室に、Yogiboの商品を提供することで簡易的なものを作ってきたようです。しかし、WE LEAGUEとのリーグタイトルパートナシップをきっかけにノエビアスタジアム神戸に常設のセンサリールームをつくっています。まさに「ストレスのない社会を実現する」ための取り組みですね。(出典:WEB-SHARK Inc. | センサリールーム)
センサリールームではもちろん、Yogibo商品を使用・体験することができるのでマーケティング戦略の一面もあると考えられます。
5.Yogibo日本戦略の成果
ここまでで紹介したYogibo日本戦略は絶好調のようです。
株式会社ウェブシャークの2021年度の売上高は前期比+77%の168億円、経常利益は+245%の47億円と大きく成長しています。
さらに、繰り返しにはなりますが2021年12月30日には代理店にもかかわらずYogibo米国本社を逆に買収しちゃいました。このように代理店が本社を買収しちゃった企業としてはセブンイレブン・ジャパンやダスキンがあるのですが、結構珍しい事例のようです。(出典:WEB-SHARK Inc. | 米国「Yogibo」本体、Yogibo LLC 社の買収について、DIAMOND SIGNAL | 販売代理店が本社を買収、米国発「Yogibo」が日本で絶好調のワケ)
6.おわりに
いかがでしたでしょうか。絶好調なYogiboが日本での成功を果たした戦略、そしてその戦略にスポーツがいかに活用されてきたのかというのをご紹介しました。
本社買収をきっかけに株式会社ウェブシャークは、既存の海外市場の売上拡大、新たな市場への参入も検討しているそう。海外市場の拡大・参入に向けてこれからYogiboはスポーツをどのように活用してくのか。楽しみですね。
今回もご精読いただきましてありがとうございました。今後も様々な企業のスポーツ活用法をご紹介していくのでぜひお楽しみに!