今回はNPB、MLB、NBAの日本人ファンがどんな人たちなのかを明らかにしたいと思います。みなさんご存知のように日本ハムファイターズから海を渡った大谷翔平選手がMLBで歴史上類を見ない二刀流で大活躍しています。
2021年8月24日時点で、バッターとしてはHR40本で両リーグトップ、ピッチャーとしては規定投球回に達してはいないものの、防御率2.79とリーグ2位相当です。他にも盗塁ではリーグ4位の19個、打点はリーグトップと1点差の88点と、まさに何刀流かよく分からない前人未踏の活躍をみせています。特に日本人では絶対無理だと言われていたホームラン王のタイトルを取るかが注目されています。2001年にBボンズが記録したシーズン73本は難しいかもしれませんが、50本はいける！と予想する人もけっこういます。
今回はこのMLBと、MLBと競技は同じだけど国が違う日本のプロ野球NPB（日本野球機構）、国は同じだけど競技が違うアメリカのプロバスケリーグNBA。この3つの団体の日本人ファンがどんなことに興味関心を持っているのかを明らかにしていこうと思います。3団体の関係をざっと図示すると↓みたいなかんじですかね。
弊社ではTwitterフォロワーから、スポーツチームや選手のフォロワー（≒ファン）の興味関心分野を分析するシステムを開発しました。名付けてSPOVA SNSアナライザー（仮）。このアナライザーを使って、3団体をフォローしている人（≒ファン）を比較し、それぞれの興味関心を明らかにしていく。そしてそのフォロワーたちはどんな人なんだろう？って想像しちゃおうってのが今回の趣旨となります。
「NPBをフォローしてる人はホークスファンが多いだろ。だってここ10年くらいのリーグ優勝回数一番多いし」
「日本のMLBファンはアメリカ好きでニューヨーク・ヤンキースとかフォローしてる米野球マニアが多そう？」
「日本のNBAファンなら八村塁きっかけのファンが多いっしょ」
そんな予想をされている方もいらっしゃるかと。
こんな予想とは違う点もあったのでぜひ最後までお読みいただければと思います。
目次
1. SPOVA SNSアナライザーについてざっくり説明
1-1. SPOVA SNSアナライザーでできること
NPB & MLB & NBAのフォロワー分析の前に、弊社が開発したSPOVA SNSアナライザー(仮)について簡単に説明しときます。↓は現時点のNPB & MLB & NBAのTwitterフォロワー分析結果サマリのページ画像です。左端タテに団体名が並んでいます。これは3団体のアカウントのフォロワーが他にどんな分野のアカウントをフォローしているのか、を表しています。これによって各団体のフォロワーが、どんなことに興味関心を抱いている人なのか、がわかるのがこのシステムなんでございます。
1-2. どうやって集計・分析するの？
次に、SPOVA SNSアナライザーがどうやってファンの興味・関心を集計してるのか、についてお話しておきます。
SPOVA SNSアナライザーの集計方法を構造的に説明すると↓みたいなかんじです。例えば各団体のアカウントのフォロワーが、他の野球選手とかチームをフォローしていたらスポーツ系への興味＋１として分類、カウントします。銀行やらメーカー、またその商品のアカウントをフォローしてたら企業・商品/サービスへの興味＋１とカウントしています。
もちろんフォロワーは複数の異なるアカウントをフォローしています。例えば野球選手の公式アカウントをフォローしつつ、松本人志さんをフォローしていたりとか。この場合はスポーツ系に興味＋１、芸能人・有名人に興味＋１、とカウントしています。
こんな集計によって、各団体のアカウントのフォロワー達がどんな分野に興味・関心を持っているのか、を分析＆予想することができます。例えば企業・商品/サービスの中でも美容系商品のフォロー数が多いとします。ってことは、美意識高め20-30代のキラキラ女子がファンに多いんじゃね？みたいな予想がつきます。要は、今まで見えなかったファンの顔がおぼろげながら見えてくるってことですね。
2. NPB & MLB & NBAのファン分析
ってことで、NPB & MLB & NBAのTwitterフォロワー≒ファンの比較・分析結果を紹介していきます。が、まずは分析結果を説明する前に、3団体のTwitterアカウントについて少しだけ紹介します。
まずはNPB（日本野球機構）。こちらは日本のプロ野球セ・リーグ、パ・リーグを統括する一般社団法人のアカウントです。Twitterを開始したのは2015年10月で54.9万ほどのフォロワーを抱えています。
次にMLB Japan。今回はMLBの日本アカウントを対象とします。MLBはMajor League Baseballの略でアメリカのプロ野球リーグの名称です。日本では大リーグとかメジャーなんて言われたりもしますね。MLBはナショナルリーグとアメリカンリーグから成り、大谷翔平選手の所属するエンゼルスはアメリカンリーグに属しています。Twitter開始時期は2014年5月、フォロワー数は17.3万。
最後にNBA Japanです。こちらも同じく日本アカウントが対象です。NBAはアメリカとカナダの男子プロバスケットボールリーグで正式名はNational Basketball Association。最近だと八村塁選手や渡邊雄太選手の活躍で何かと話題ですね。
驚きなのが3団体の中でTwitterの運用開始はこのNBA Japanが一番早いんですね。彼らは2013年11月からTwitterを開始しており、フォロワー数は31.4万人を誇ります。
ではではそんなNPB & MLB & NBAのTwitterフォロワー（≒ファン）たちがどんな興味関心を持っている人たちなのかを見ていきましょう。↓の図は、SPOVA SNSアナライザーを使って、3団体のファンの興味・関心の全体を俯瞰して比較したものです。今回の記事では【スポーツ系（選手、団体含む）】【メディア・ニュース・ポータル】【ゲーム・アニメ・漫画】【映画・テレビ・ドラマ】【アーティスト・ミュージシャン】の5つのカテゴリを抜き出してます。
ざっとみたかんじNPBは「スポーツ系（選手、団体含む）」、「メディア・ニュース・ポータル」が他の2団体より高めになってますね。あとは、NBAを見てみると「ゲーム・アニメ・漫画」が他より高めになってるので、このジャンルに興味がある人が他2団体よりも多そうです。
2-1. スポーツ系（選手、団体含む）
では、まずはじめに3団体に共通して一番割合の大きい「スポーツ系」カテゴリから。繰り返しになりますが、このカテゴリのNPBファンのフォロー率が高くなっています。（NPB 38.0％、MLB 31.9%、NBA31.8%）
では、それぞれのファンがスポーツ系カテゴリで具体的にどんなアカウントをフォローしているのか、Top5を見てみましょう。各団体のフォロワーを分析しているので、当然それぞれの1位はその団体たちです。
まずNPBで気になるのは阪神タイガースの公式アカウントが4位に入ってる点ですね。当然ながらセパ両リーグの12球団、全てのチームがTwitterアカウントを持っています。その中で、阪神タイガースだけ4位にランクインしています。しかも野球日本代表を上回って。NPB全体に興味のあるファンには阪神ファンが多いってことですね。
MLBには現役or元メジャーリーガーのダルビッシュ有選手、田中将大選手、前田健太選手がランクインしています。このへんは納得感ありますね。
他に気になる点で言えばNBA2位に渡邊 雄太がランクインしてることですかね。渡邊選手はトロント・ラプターズに所属するNBAプレイヤーです。NBAプレイヤーと言うと八村塁選手の方がメディア等で注目されがちな気がします。でも、NBA Japanのアカウントをフォローして、NBA全体の動向に関心がある人達は、渡邊選手ファンのほうがより多いんですね。
2-2. メディア・ニュース・ポータル
続いてみていくのは、「メディア・ニュース・ポータル」カテゴリです。3団体の中ではNPBのファンの興味・関心が比較的強いカテゴリになります。（NPB 10.3％、MLB 7.4%、NBA5.1%）
NPBを見てみるとここでも阪神タイガース関連のアカウントがランクインしています。2位の阪神タイガース公式サイト実況速報担当はタイガースの公式戦、エキシビジョンマッチなどについて、スタメン、スコアなどをTweetしているアカウントです。やはりNPBには阪神タイガースファンが多いようですね。
MLBとNBAを見てみると両団体ともに1位と5位はその競技関連のアカウントです。2位、3位、4位にはYahoo!ニュース、ライブドアニュース、NHKニュースというオールジャンルのメディアがランクインしています。
2-3. ゲーム・アニメ・漫画
続いてみていくのは、「ゲーム・アニメ・漫画」カテゴリです。3団体の中ではNBAのファンのフォロー率が高いカテゴリになります。（NPB 6.1％、MLB 5.3%、NBA9.1%）
各団体ともTop5を見てみると人気のゲーム・アニメ・漫画がランクインしていますね。プロスピ、鬼滅、ウマ娘などなど。
注目したいのはNBAの1位と2位にランクインしてる呪術廻戦ですね。呪術廻戦は、週刊少年ジャンプで連載中の超人気漫画です。少年ジャンプと聞けば、名前の通り男性からの支持されているのではと思う方もいるかもしれません。しかし、実は呪術廻戦は女子学生人気が高いのです。
全国の中学生・高校生・大学生を対象にした「女子学生が選ぶ2021年上半期トレンド大賞」で、漫画・アニメでは唯一の10位以内ランクインを果たし、2位に輝いています。どうやら、作中に登場する五条悟というキャラクターが女子学生ファンからの熱狂的な人気を集めているようです。ちなみにちなみにピクシブ百科事典というサイトの五条悟の紹介ページは、呪術廻戦の作品紹介ページの3倍近くの閲覧数があります。（出典：JJ | 【女子学生が選ぶ2021年上半期トレンド大賞&下半期トレンド予測】「東京リベンジャーズ」「コムドット」「INI」などがランクイン！、excite ニュース | 『呪術廻戦』“五条悟の女”が発狂!? ファンブックの既婚者情報に一喜一憂、ピクシブ百科事典 | 呪術廻戦、五条悟）
NBAには以外と五条悟好きの女子学生が多いかもですね。
2-4. 映画・テレビ・ドラマ
続いてみていくのは「映画・テレビ・ドラマ」カテゴリです。このカテゴリはMLBのフォロー率が少しだけ高くなっています。（NPB 4.4％、MLB 5.0%、NBA3.9%）
ざっと見たかんじ、各団体ともにその競技関連のアカウントが多くフォローされているようです。NPB、MLBならDRAMATICBASEBALL 2021、熱闘甲子園、NBAならバスケットLIVEなど。
NPBで特筆するとしたら2位の虎テレ運用担当ですね。スポーツ系（選手、団体含む）、メディア・ニュース・ポータルに続き、ここでも阪神タイガース関連のアカウントが食い込んできています。やっぱりNPBファンには阪神タイガースファンが多いようですね。
NBAを見てみるとSportsCenter、ESPNというアカウントが3位と4位にランクインしています。ESPNとはアメリカのテレビのスポーツ専用チャンネルです。朝から晩まで世界中ありとあらゆるスポーツ情報を放送してます。そしてこのESPNのスポーツニュース番組として放送されているのがSportsCenterなんです。
ESPNのこんなアカウントが2つもランクインしてくるってことは、NBAのフォロワーには世界中のトップスポーツに興味がある人が多いのかもしれないですね。グローバルな視点で世界最高峰のスポーツ情報を得たいという、ガチスポーツ好き＆グローバルなフォロワーさんたちのようです。
NBAフォロワーたちをグローバルなガチスポーツ好き、と説明しましたが他の顔も持っているようです。NBAのTop5には2位にキングオブコント、5位にナイト・ドクターのアカウントが入っています。キングオブコントはまっちゃんが審査員長を務め、日本一のコント師を決める大会です。ナイト・ドクターはフジテレビの月9ドラマで夜間救急専門医の奮闘を描いたドラマです。
この2つのアカウンが多くフォローされてるということは、日本の大衆文化であるお笑いandドラマ好き、な人がNBAフォロワーには多いのかもしれないです。
2-5. アーティスト・ミュージシャン
最後に見ていくのは「アーティスト・ミュージシャン」です。このカテゴリはMLBが少しだけ高くなってますね。（NPB 2.0％、MLB 3.7%、NBA2.7%）
おなじみの人気アーティスト・ミュージシャンが並んでいますね。3団体ともにあいみょん、米津玄師、YOASOBIとそのボーカルの幾田りらがランクインです。誰もが耳にしたことのある人気歌手さんたちですね。
1つ取り上げるとするとNPBの3位NiziU、5位にTWICEが入っている点でしょうかね。
NiziUはソニーミュージックと韓国のJYPエンターテインメントが協力し、日韓合同でデビューしたグループです。JYPエンターテインメントの創業者で韓国人のパク・ジニョンがプロデューサーとなっているため、衣装やメイクは韓国風になっています。
TWICEは2015年に結成された韓国の9人組多国籍ガールズグループです。NiziUと同じくJYPエンターテインメントに所属しており、パク・ジニョンがプロデュースしています。
最近日本のJ-POPはあいみょん、米津玄師など実力派アーティストが人気を博しています。そんな中でもTop5に韓国関連のアーティストが2組も入っているので、NPBフォロワーはK-POPに興味がある人が多いのかもしれないですね。
3. NPB & MLB & NBAフォロワー分析結果まとめ
NPB & MLB & NBAのファンをTwitterフォロワーから分析してみました。ざっとまとめると↓のようになりますかね。
こうやって分析してみるとNPB & MLB & NBAのファンの人物像が手触り感をもって想像できるようになるかと思います。
ペナントレースを注視してるNPBファンがどんなことに関心があるか。大谷選手の活躍に感度高く反応しているMLBファンがどんな興味をもっているか。渡邊雄太や八村塁選手のスーパープレイに熱狂するNBAファンがどんなゲーム・アニメを見る人たちか。それぞれの人物像が想像できるようになるかと思います。
海を渡り世界で活躍する日本人選手が増えるにつれ、選手個人に企業がスポンサーする事例も増えてきました。例えばG-SHOCKでおなじみのCASIOが八村塁選手に、ファンションブランドのHUGO BOSSが大谷翔平選手にスポンサーしたり。
スポーツチーム、団体、選手、どれにスポンサーするにしても、企業は“ある特定の顧客セグメントを取り込みたいからスポンサーする”ってケースが多いかと思います。みなさんの会社でもターゲットにする顧客セグメントがあると思います。若い女性を顧客として取り込みたい！とか富裕層にもっと使ってもらいたい！とか。その際に、スポーツチーム、団体、選手が抱えるファンの興味関心を分析し、最も効率的にターゲット顧客にリーチできるスポンサー先を見つけてみるといいかもしれないですね。スポンサーシップの効果を最大化するために最適なスポーツチーム、団体、選手が見つかると思います。
それと余談ですが、最近よくスポーツチーム・団体が他コンテンツとコラボするケースを目にします。例えば爆発的人気を博した「鬼滅の刃」。この鬼滅の刃はあらゆるものとコラボしており、スポーツ業界でもコラボ事例がみられます。ただ、もしそのスポーツチーム、団体のファンが鬼滅よりも呪術廻戦やらポケモンに興味が強い場合はどうでしょう。そういう場合は同じコラボフィーを払うのであれば、呪術廻戦とのコラボを考えたほうがファンの満足度は高くなるはずなんです。このようにスポーツチーム・団体は自分たちのファンが何に興味があるのかを分析した上でコラボ先を見極めるべきなんですね。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。もしこのSPOVA SNSアナライザーを使って、「もう少し詳しく今回のデータが見てみたい」「他の選手も比較してみたい」、「あのチーム＆選手のファン像をより詳しく分析したい」というチーム関係者さま、スポンサー企業さま、広告代理店・コンサル・メディア企業さま、もしくは熱烈な分析マニアサポーターさまがいらしたらご連絡いただければと思います。
これからも引き続きスポーツチームと企業のビジネスとしての関係構築に役立つ情報を発信していきます。Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いいたします。
なお少し前に、今回と違うTwitterフォロワー分析シリーズもご紹介しました。
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オリンピックシリーズ
阿部一二三v.s.大野将平の日本柔道男子メダル候補対決
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その他
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