パソコンの見過ぎで目をしばしばさせながら、ワタシは弊社の事例データベースで日々スポンサー事例を検索しています。実はSPOVAでは毎日せっせと国内外のスポンサーアクティベーション事例を調査、ストックしています。だいたい2003年から直近まで約2万件以上の事例を社内データベースに溜め込んでいます。

我々はこのデータベースを使って、

「どんなスポンサーアクティベーションの効果が大きかったか?」

「海外のスポーツ先進国では企業がどのようなスポーツの使い方をしているか?」

「スポンサー企業の業種、スポーツ競技、地域といった分類ごとに、スポンサーの取組に特徴はあるのか?」

「A企業と、競合のB企業のスポンサー事例を比べると、SNSでの反響の違いはあるのか?」

などの分析を行っています。

今回は、このデータベースの中から“過去5年でSNSの反響が大きかったスポンサーアクティベーションランキングTop5”をご紹介します。対象業界は情報・通信業、対象範囲は世界です。つまり、海外の情報・通信業の企業がスポーツチームにスポンサーした事例のうち、どれがSNSで反響あったんか?ってお話です。MicrosoftとかGoogle先生が出てくるんでしょうか?

それでは参ります。

1. SPOVA DB(データベース)とはなんぞ?

SNSで反響の大きかった海外事例Top5をご紹介する前にこのデータベースについてちょろっと説明しておきます。

このデータベースの機能をカンタンに表現すると、「国内外のスポンサー事例を集約、分析したシステム」です。名付けて(仮)SPOVA DB(データベース)。現時点で、名前は仮称です。もしかしたら「名前だっせぇ」と思った方がいらっしゃるかと思います。繰り返します。名前は仮称です。それに現状は社内データベースなんす。

ところで、みなさんも過去にこんなこと思ったことないでしょうか。

「あの会社はどのチームにスポンサーして、どんなことやってんの?」

「海外の有名クラブはどんなスポンサー企業を獲得してんの?」

でも同時にこうも思ったのではないでしょうか。

「スポンサー事例を探して分析すんのだるいわぁ…」

我々のSPOVA DBはそんな作業をラクにするために社内用に開発したデータベースです

下の図はシステムのトップページです。上段には国内、下段には海外事例が並べられ、最新スポンサー事例を一覧で見ることができます。

そしてこの2万件以上の国内・海外事例を「企業・業界」「コンテンツホルダー(スポーツチーム・団体など)」視点で分析することができます。

要はこういうことです。企業・業界分析では、業界や企業別にスポンサーしているスポーツチームを見ることができます。企業・業界別にどのスポーツチーム・団体にスポンサーしているか?がわかります。

逆にコンテンツホルダー分析では競技種目とそのスポーツチーム別にスポンサーを見ることができます。競技・スポーツチーム・団体別にどんなスポンサーを獲得しているか?で事例を抽出できるってわけです。

加えて、事例の効果(SNS反響、売上・営業利益への影響)を起点に分析できるページもあったりします。

今回の記事では前者の「企業・業界分析」に絞ってご紹介します。

1-1. 企業・業界分析で何ができる?

繰り返しますが、企業・業界分析では企業・業界別にどのスポーツチーム・団体にスポンサーしているか?を見ることができます。企業・業界分析の下にある「国内」ボタンをポチっとすると以下の画面に遷移します。

ここでは企業・業界別にスポンサー事例を絞ることができます。例えば企業で絞る場合はこんなかんじです↓。

例えばみんな大好きPUMAで絞ってみます。するとこんなふうに表示されます。PUMAが国内のどんなスポーツチームにスポンサーしているのか、が上段に。下段にはそれに紐づく事例が一覧で並ぶっちゅうわけですね。

企業よりももう少し大きい単位の業界で絞る場合はこんなかんじでフィルタリングできます。

例えば今をときめく情報・通信業で絞るとこんなかんじです↓。事例としてはDAZN、PayPay、LINEなどのスポンサー事例が表示されてますね。

1-2. 社会の注目度を表す興味スコア

下段に表示されるスポンサー事例ですが、表示される順番は日付が新しいものから、というわけではありません。表示順を決めるのは下段の右にある興味スコアなるものです。

これは各記事の発信元SNSアカウントが投稿した当該記事に対して、どれだけエンゲージメント(コメント、リツイート、いいね)があったか、で算出しています。各エンゲージメント指標はその重要度に応じ、統計学的に妥当と考えられる調整をしてスコア化しています。

ごちゃこちゃと難しく語りましたが、要は“どんだけSNS上で反響があったか”を測る指標ってわけです。正直なところ、スポンサー事例は山ほどあります。海外までその範囲を広げればその数は膨大なものになります。そしてその多くは世間からまったく注目されない事例だったりします。そういった事例を見るよりも、社会的な注目を集めた事例を上から表示できる。それが興味スコアってわけです。

ここまで説明したことと同じようなことが海外事例についてもできます。↓にあるように海外のスポンサー事例における企業(&業界)で絞り込むことができるってわけであります。

2. 興味スコアTop5:海外のスポンサー事例(情報・通信業編)

ここまででSPOVA DB(データベース)について「ほぅ。こんなシステムあるんか」とご理解いただければ幸いでございます。

ではではここからは興味スコアの高かった海外のスポンサー事例Top5をご紹介します。今回の記事は海外情報・通信業編でございます。2020年8月まで過去5年間の事例を対象に分析した結果になります。

以下の5つが興味スコアが高かった事例となります。

2-1. 【5位】NFL adds Microsoft Teams platform to technology deal(NFLがMicrosoft Teamsプラットフォームと技術提携)[2020年3月4日]

5位は、アメリカのプロアメリカンフットボールリーグであるNFLMicrosoftとのパートナーシップを延長&進化させたというニュースです。

(出典:Twitter | Twitter

みなさんご存じMicrosoft。米国の主要IT企業の総称である、GAFAMの一角を占め、Google先生、Amazon、Facebook、Appleと肩を並べる企業です。こんなスーパービッグ企業のMicrosoftが、こちらもスーパー人気スポーツリーグのNFLとパートナーシップを結んだ事例になります。

このスポンサー契約では、MicrosoftはNFLに所属する全てのチームにMicrosoft Teamsを提供しました。「Microsoft Teamsうちの会社で使ってる!」という方もいらっしゃるのでは。Microsoft Teamsはチャット、会議、通話、ファイルの共有が全てここだけで完結できちゃうプラットフォームです。企業に取り入れることの多そうな商品ですが、このスポンサーシップをきっかけにスポーツ界や、スポーツのようにリアルタイムでのデータ連携がカギになる領域での有用性をアピール!ということなのでしょう。(出典:Microsoft | Microsoft Teams

さらに!MicrosoftはSurfaceのタブレットをNFL全チームのコーチと審判に提供したそうです。さすがMicrosoft。太っ腹ですねぇ。それによって、プレーを試合中に即座に振り返り、細かくチームの動き方の軌道修正をしているとのこと。全チームがそうだとすると、技術の進歩と共に試合が非常に高度化していることが分かります。ファンの注目を集めたのも納得でしょう。

(出典:SportsPro | NFL adds Microsoft Teams platform to technology deal

2-2. 【4位】IBM makes esports entry with multi-year Overwatch League deal(OverwatchリーグとIBMが複数年契約)[2020年10月9日]

興味スコアランキング4位は、IBMがプロeスポーツリーグ・Overwatch Leagueのスポンサーになったというニュースです。

このOverwatch Leagueはプロeスポーツリーグとなります。Overwatchはシューティングジャンルのゲームで、Overwatch Leagueは世界トップのリーグです。韓国、アメリカ、フランス、イギリスのチームが参戦するグローバルなリーグだったりします。Overwatchについては過去記事でもふれてますので、気になる方はポチッと願います。

IBMは、Overwatch LeagueのAI・クラウド・アナリティクススポンサーになりました。具体的には、OverwatchリーグはIBMとの提携を通じて、ファンとチームに以下を提供するようです:

・自然言語処理技術によるランキングシステムの向上

・Watson AIによる試合のストリーミング配信でのリアルタイム試合予想分析の表示

どちらもファンとチームのエンゲージメント向上を目的に行うとのこと。確かに、高速で進んでいく試合状況の中で、一つ一つのプレーによって戦況(勝率)がどう動いてるのかってよっぽど詳しくないと分からないですよね。いまどっちに勝率が傾いてるってのが分かると、「いまのプレー凄かったんだ」って分かって試合観戦がより幅広いファンにより深く楽しんでもらえそうですね!

2-3. 【3位】IOC and Atos add four years to Olympic TOP sponsorship(IOCがAtosとのオリンピックTOPスポンサー契約を4年延長)[2020年7月9日]

3位は、国際オリンピック委員会(IOC)とAtosという企業がスポンサー契約を延長したというニュースです。

(出典:Twitter | Twitter

Atosはフランスを拠点とするデジタルサービス企業で、売上高約1兆4000億円、世界73カ国でビジネスを展開しています。(出典:Atos | アトスとは

Atosとオリンピックの関係のスタートは1989年までさかのぼります。当時からTechnology Providerとして自社製品などを通じてオリンピックを支援しています。そして現在はコカ・コーラやP&Gと並んでワールドワイドオリンピックパートナーとして名を連ねています。(出典:TOKYO2020 | パートナー)

(出典:TOKYO2020 | パートナー)

そんなAtosとIOCのスポンサー契約が2020年に4年延長することが決定したというニュースが今回3位になりました。

2024年までということは2022年北京冬季オリンピック、2024年パリ夏季オリンピックまでということですね。

Atosは関係者やボランティアを人材管理システムや、大会のスケジュールを管理するシステムなどの基幹システムを提供するそうです。また、Atos社長のコメントによれば、オリンピックを通じた環境問題への取組もスポンサー目的としてあるようです。

2024年に向けてAtosとIOCがどんな成果を残すのか楽しみですね。

2-4. 【2位】Paddy Power brokers first shirt sponsorship deal with Huddersfield Town(Paddy PowerがHuddersfiled Townとユニフォームスポンサー初契約)[2019年7月15日]

2位に輝いたのは、Paddy PowerHuddersfield Townというサッカーチームのパートナーシップ契約です。

Paddy Powerはアイルランドのブックメーカーです。ブックメーカーと言っても本を製造する企業ではありません。海外ではスポーツベッティングの主催会社のことをブックメーカーと呼びます。(出典:The Drum | Paddy Power、ザ・ブックメーカーズ | ブックメーカーとは?海外版サッカーくじの登録方法・日本での合法性を解説!

Huddersfield Townはイギリスのプレミアリーグ2部に相当する、EFLチャンピオンシップというリーグに所属しています。ホームタウンはイギリスウェスト・ヨークシャー州のHuddersfieldというロンドンの北に位置する街です。2021年3月26日現在のHuddersfield Townの順位は、18位。(出典:Huddersfield Town | DIRECTIONS

Paddy Powerは2019/20シーズンにHuddersfield Townのメインユニフォームスポンサーを務めました。ユニフォームの前面へ斜めに社名を載せるという斬新なデザイン。かなりインパクトがありますね。(出典:The Drum | Paddy Power brokers first shirt sponsorship deal with Huddersfield Town

(出典:Huddersfield Town | TOWN’S 2019/20 HOME KIT IS REVEALED!

でも実は、このユニフォームはフェイクだったのです!Paddy Powerはサッカーのユニフォームスポンサーは”行き過ぎている”と主張し、“行き過ぎている”というのを上のフェイクユニフォームで風刺的に表現しました。”行き過ぎている“例を出すと、フランスのプロサッカーリーグ2部に所属するFC Chamblyというチームのユニフォーム。これでもか!ってくらいスポンサーロゴを入れまくってます。確かに”行き過ぎている”感はありますよね…

(出典:Twitter | Twitter

Paddy Powerはこうしたサッカー界の”行き過ぎた”スポンサーシップに抗議の意を込めてアクティベーションを行いました。こんな”行き過ぎた”ユニフォームより、ロゴのないユニフォームの方がカッコいいだろ?という具合に。

(出典:Huddersfield Town | TOWN’S HOME KIT IS ON SALE NOW!

Paddy Powerがフェイクの旨を発表したネタばらしツイートは、約9千件のリツイートと約2.7万件のいいねがつきました。激バズり!!!騙された~!

(出典:Twitter | Twitter

2-5. 【1位】Spotify agrees ‘first-of-its-kind’ League of Legends audio partnership(Spotifyが初のLeague of Legendsのオーディオパートナー契約)[2020年8月24日]

見事、興味スコアランキング1位に輝いたのは、SpotifyRiot Gamesが複数年のパートナーシップ契約を締結したというニュースです。

Spotifyは、スウェーデンの企業で、音楽ストリーミングサービスを提供していて、世界中に3.5億人のユーザーがいます。(出典:Spotify | Spotifyについて

Riot Gamesは、アメリカのゲーム制作会社で、日本でいうと任天堂に近い企業ですね。代表的なプロダクトは「League of Legends」というゲーム。↓の記事でもふれてますが、国内でもかなりの人気を誇るゲームです。

今回のニュースはSpotifyがLeague of Legendsの全てのイベントのオーディオストリーミングパートナーになったというものです。簡単に言うとLeague of Legendsプレイヤーに向けたプレイリストを一緒に作り、ポッドキャストとして配信するというパートナーシップです。

このパートナーシップは、‘first global paid sponsorship deal’ for Spotifyと表現されました。つまりSpotifyにとって初の世界規模スポンサーシップだったということもあり注目を集めたようです。(出典:Variety | Spotify Buys Exclusive Sponsorship for Riot Games ‘League of Legends’ Esports

Twitterにも、Big move by Spotify!おーいえー!って感じでつぶやかれています。

(出典:Twitter | Twitter

2-6.【まとめ】興味スコアランキングTop5

以上が、海外の情報・通信業界の企業がスポーツチームと行った取り組みTop5でした。

これは時代なのかもしれませんが、SNSでバズった事例Top5のうち、2事例がeスポーツ関連でした。確かにこのeスポーツ、海外では人気急上昇中です。このへんのeスポーツが海外でどんだけ人気かについては↓の記事に書いてあるので、気になる方はポチッと。

3位のAtos、5位のMicrosoftの事例は知名度ありまくりな企業が、知名度ありまくりなスポーツチーム・団体にスポンサーした事例です。なので、SNSで話題になったというのも頷けるとこです。

一方、2位のPaddy Powerの事例なんかは、Huddersfield Townという知名度皆無のチームです。でも、あまり有名ではないチーム“だからこそ”な事例で、示唆的ですね。日本でもマイナースポーツがスポンサーを見つける際のヒントになりそうです。

ちなみに過去にお出しした記事で、バーガーキングがイギリス4部のスティヴネイジFCを使って注目を集めたって事例がありました。これなんかも弱小であることを逆手に取った好事例です。気になる方はポチッと願います。

3. おわりに

以上、SNSで注目度の高かったスポーツ活用事例(情報・通信業-海外編)でございました。今後も国内外の別業界の分析記事を書いていきます。

もし「このシステム興味あるなぁ」って方がいましたらご連絡いただければ幸いです。まだまだ開発段階ですが、毎日夜なべしてその精度と使いやすさをアゲアゲしています。

「スポンサー事例集めるのだるいわぁ」

「あの競技で成果が見込めるスポンサー事例を手早く知りたいわ」

「この業界、国内競合、あの海外企業の取組がサクッと知りたいわ」

と思う方には便利なデータベースに仕上がりつつあるので、ぜひぜひお気軽にお問い合わせください。

これからも引き続きスポーツチームと企業のビジネスとしての関係構築に役立つ情報を発信していきます。Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いいたします!