ある選手が好きだから、あのチームを応援する」ってこと結構ありませんか?

これは国の代表チームにも言えることです。クリロナがいるからポルトガルを応援する、とか南野拓実選手がイケメンだから日本代表の試合を観る、とか。

つまり、選手のファンを分析するとチームのファン分析では見えなかったファン像が見えてくるんです。SPOVAでは“SPOVA SNSアナライザー”なるものを開発しチームのファン分析に加え、選手個人のファン分析も行っています。

今回はこのアナライザーを使って、日本代表の新旧スターのファン分析をしてみたいと思います。対象となるのはKEISUKE HONDAでおなじみの本田圭佑選手。そしてもう一人は今後のサッカー日本代表を背負って立つであろう堂安律選手です。

日本が誇るレフティスターのファンを分析&比較するとどんな違いがあるのか。

それでは参ります!

1. SPOVA SNSアナライザーについてざっくり説明

1-1. SPOVA SNSアナライザーでできること

堂安選手と本田選手のフォロワー分析の前に、このSPOVA SNSアナライザーについて簡単に説明しときます。↓は現時点の堂安&本田選手のTwitterフォロワーを抜き出したページの画像です。左端タテに堂安&本田選手の名前が並んでいます。そしてそれぞれに100%バーグラフがあります。これは両選手のアカウントのフォロワーが他にどんなアカウントをフォローしているのか、を表しています。これによって堂安&本田選手のフォロワーが、他にどんなことに興味関心を抱いている人なのか、がわかるのがこのシステムなんでございます。ちなみに細かいことを言うと、今回は日本人のフォロワー≒ファンだけを対象として分析をしています。

1-2. どうやって集計・分析するの?

次に、SPOVA SNSアナライザーがどうやってファンの興味・関心を集計してるのか、についてお話しておきます。

SPOVA SNSアナライザーの集計方法を構造的に説明すると↓みたいなかんじです。例えば各選手のアカウントのフォロワーのうち、Jクラブやら他のサッカー選手をフォローしていたらスポーツ系への興味+1として分類、カウントします。銀行やらメーカー、またその商品のアカウントをフォローしてたら企業・商品/サービスへの興味+1とカウントしています。

もちろんフォロワーは複数の異なるアカウントをフォローしています。例えばサッカーチームの公式アカウントをフォローしつつ、お笑い芸人をフォローしていたりとか。この場合はスポーツ系に興味+1、芸能人・有名人に興味+1、とカウントしています。

こんな集計によって、各選手のアカウントのフォロワー達が他にどんな分野に興味・関心を持っているのか、を分析&予想することができます。例えば企業・商品/サービスの中でも美容系商品のフォロー数が多いとします。ってことは、美意識高め20-30代のキラキラ女子がファンに多いんじゃね?みたいな予想がつきます。要は、今まで見えなかったファンの顔がおぼろげながら見えてくるってことですね。

1-3. 選手のSNSフォロワーを分析する意義ってなに?

ちょっと前に出した記事に↓のような図をご紹介しました。この図は、スポンサー、球団・チーム、そしてファンの関係を表しています。見てもらうとわかるのですが、スポンサーも球団・チームもその収入は全てファンに起因します。球団・チームは、ファンに観戦チケットやらグッズを購入してもらって、それを収入とします。スポンサーであれば、スポンサーの商品・サービスをファンが買ってくれることで収入になるわけです。

じゃあこのチームのファンてなんでそのチームのファンになったんですかね? ちょいと古いデータですが、↓のようなデータがあります。これはインターネットアンケートを通じて、Jリーグのファンたちに「なんでそのチームのファンになったんすか?」って聞いた結果です。1位は、「地元のチームだから」が65.7%でぶっちぎりですね。Jリーグは地域密着を掲げているので、当然といえば当然かも知れないです。

ここで注目してもらいたいのは、1位、3位、4位、5位はすべてチームそのものに関連する理由っちゅうことです。しかし、2位の「好きな選手がいるから」はちと違います。チームと言うより、選手個人が好きだから → チームのファンになった、人なわけです。ファンになったきっかけが選手起点ってことですね。そしてこんな人が26.6%もいます。

特に有名選手であればあるほど、多くのファンを連れてきます。2018年に世界的スターであるアンドレス・イニエスタヴィッセル神戸に加入しました。彼の加入前と後では、1試合平均の観客数は7,582人、およそ44パーセント増加しました。(出典:Soccer Digest | ホームゲーム入場者数の推移で見る「イニエスタ効果」…今季開幕戦でも25,059人を記録

ファンクラブにいたっては1,500人増加し、SNSのヴィッセルアカウントのフォロワーは3万人も増えたとのことです。(出典:ゲキサカ | イニエスタ加入神戸…発表から2日間でファンクラブ1500人、SNSフォロワーは3万人増

このように選手は一定数、新たなファンを生み出し、ファン層を広げてくれる存在なんですね。なので、選手に紐づくファンを分析すればチーム分析だけでは見えなかったファンの興味感心がより詳しくわかるっちゅうことです。

2. 日本代表 新旧スター対決:堂安律v.s.本田圭佑

それでは、堂安律選手と本田圭佑選手のフォロワーを比較していきます。分析結果をご紹介する前に、堂安選手と本田選手について少しだけふれときます。

偶然か必然か、この2人にはいくつかの共通点があります。まずは出身とジュニア時代の所属ですね。堂安選手は兵庫県尼崎、本田選手は大阪府摂津市出身と、2人とも関西出身です。そしてともにガンバ大阪ジュニアユースに所属していました。

プレースタイルにも共通点があります。2人ともにレフティであり、主に右サイドハーフでプレーします。中央にカット・インしながらゴールを狙うスタイルを得意としています。

また2人ともオランダのチームに所属経験があるんですよね。堂安選手は19~22歳の時期フローニンゲンPSVの2チームで過ごしています。一方で本田選手は21歳の時にVVVフェンロに移籍。また2019年には2か月間ではありますがフィテッセにも所属しており、彼もオランダの2チームを経験しています。

(出典:ゲキサカ | 堂安律本田圭佑、テレ朝サッカー | 堂安律、本田圭佑 | 本田圭佑オフィシャルWEBサイト より作成)

ではさっそく、ガンバ大阪のジュニアユースが生んだ新旧レフティスターのTwitterフォロワーを見ていきましょう。

下の図は、SPOVA SNSアナライザーから両選手のフォロワーのSNSデータを抜き出したものです。

堂安選手を見ると、「スポーツ系」のカテゴリが5割弱と最も多くなっています。次に多いのが「芸能人・有名人」で1割強。3番目に多いのが「ユーチューバー」のカテゴリで1割弱となっています。

一方、本田選手のフォロワーはどうでしょうか。「スポーツ系」カテゴリが2割弱と最も多いのですが、2位の「芸能人・有名人」も同程度です。3番目に多い「ユーチューバー」も上位2カテゴリとそれほど変わりません。

このように本田選手のフォロワーの興味はまんべんなくあらゆるカテゴリに広がっています。ここまであらゆるカテゴリに興味関心のあるフォロワーが多い選手も珍しいです。本田選手はスポーツ選手とは言え、多種多様なファンから支持されてるってことが推察できます。

では、もう少し詳しく見ていきましょう。ここからは、各カテゴリにフォーカスして見ていきます。

2-1. スポーツ系(選手、団体含む)

まずは、「スポーツ系」カテゴリから。堂安選手をフォローしている人の45.1%が「スポーツ系」のアカウントをフォロー。対する本田選手は18.1%で、その差は27.0%。

↓の表は、各選手のフォロワーが「スポーツ系」カテゴリでフォローしているアカウントの上位5つを抜き出したものです。各選手のフォロワーを分析しているので、当然それぞれの1位は本人たちです。

堂安選手を見てみると、日本代表のレジェンド長友佑都ケイスケホンダが入っています。あとは、日本代表の攻撃の中心になりつつあるイケメン南野拓実選手がランクインしてますね。見てもらえればわかりますが、すべてサッカー関連になっています。

一方、本田選手には、MLBで活躍するダルビッシュ有投手と楽天の田中将大投手がランクインしています。上で、本田選手のフォロワーはあらゆるカテゴリに興味関心のあるフォロワーが多いって話をしました。ここでもサッカー選手だけではなく、野球に興味のある人も本田選手のフォロワーになっているようです。

(出典:Twitter | Twitter

2-2. 芸能人・有名人

続いてみていくのは、「芸能人・有名人」カテゴリです。堂安選手をフォローしている人の16.2%が「芸能人・有名人」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は17.5%で、その差は1.3%。

堂安選手をみると、ダウンタウン松本人志有吉弘行が1位、2位ですね。3、4、5位には菅田将暉永野芽郁浜辺美波といった今をときめく俳優・女優さんが入っています。

一方、本田選手には2ちゃんねる創始者のひろゆき氏、そしてホリエモンこと堀江貴文氏が上位に入っています。本田選手のHPを見ると、サッカー選手の他に経営者、教育者、投資家なんて書かれています。こういった多岐にわたる活動によって、様々な興味を持つフォロワーを惹きつけているってことですかね。

(出典:本田圭佑 | 本田圭佑オフィシャルWEBサイト

2-3. ユーチューバー

続いては、「ユーチューバー」カテゴリです。堂安選手をフォローしている人の6.3%が「ユーチューバー」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は11.9%でその差は5.6%

ざっと見た感じ、有名所のユーチューバーがならんでますね。ヒカキンヒカルはじめしゃちょーあたりはどの選手でも上位に入ってくるので、納得の結果です。

2-4. グラビア・アイドル・モデル

続きましては、「グラビア・アイドル・モデル」カテゴリ。堂安選手をフォローしている人の6.1%が「グラビア・アイドル・モデル」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は5.1%で、その差は1.0%

このカテゴリについては順位がまったく同じです。橋本環奈、指原莉乃、広瀬すず、藤田ニコル、ROLAは様々なメディアで引っ張りだこの人気者たちなので納得ですね。

2-5. メディア・ニュース・ポータル

続いては、「メディア・ニュース・ポータル」カテゴリです。堂安選手をフォローしている人の4.2%が「メディア・ニュース・ポータル」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は5.9%で、その差は1.7%

堂安選手についてはほぼサッカーメディアですね。堂安選手のフォロワーにはガチサッカー勢が多いのかもしれません。

一方、本田選手はと言うと、経営者、教育者など様々な顔を持つ本田選手らしく、サッカー以外のメディアがランクインしています。有料会員数76万人を誇る経済ニュースメディアである日経電子版2位に入ってます。(出典:日本経済新聞 | 日経朝刊・電子版の購読数 275万

その他にもNHKニュースYahoo!ニュースなどオールジャンルを扱うメディアが上位に食い込んでいます。

(出典:Twitter | Twitter

2-6. アーティスト・ミュージシャン

続いては、「アーティスト・ミュージシャン」カテゴリです。堂安選手をフォローしている人の3.9%が「アーティスト・ミュージシャン」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は5.3%で、その差は1.4%

こちらについては両選手ともに人気の歌手がランクインしています。あいみょん、米津玄師、きゃりーぱみゅぱみゅなどはどの選手でも上位に入る歌手です。

唯一、珍しいかなと思うのが本田選手の4位に入っているYOASOBIですかね。彼らは小説“タナトスの誘惑”を原作とした「夜に駆ける」でデビュー。“沈むように~溶けていくように~”でおなじみの歌です。

メンバーの一人Ayaseはボーカロイドプロデューサーとして中高生に強い人気がありました。そして主に中高生の利用者が多い「TikTok」から人気に火がついた、という経緯があります。(出典:日経XTREND | YOASOBIの「夜に駆ける」、なぜ人気? 若者の心を掴んだ舞台裏 もしかしたら本田選手のファンには中高生世代も多く含まれているのかもしれません。

(出典:Twitter | Twitter

2-7. 企業・商品/サービス

企業・商品/サービス」カテゴリを見ていきましょう。堂安選手をフォローしている人の3.6%が「企業・商品/サービス」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は2.5%で、その差は1.1%

こちらについては、どの選手でも出てくるおなじみの顔ぶれです。コンビニ、ファストフードなどみなさんの日常に入り込んでいるお店がランクインしてますね。

2-8. 映画・テレビ・ドラマ

続いては「映画・テレビ・ドラマ」カテゴリ。堂安選手をフォローしている人の3.3%が「映画・テレビ・ドラマ」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は1.4%で、その差は1.9%

堂安選手の方を見ると、ABEMA以外はサッカー関連がならんでいますね。

一方の本田選手はと言うとCNNが5位にランクインしています。ワタシもこの分析を何度もしていますが、CNNが入っている選手、初めて見ました。CNNは1980年にニュース専門チャンネルとして設立されました。1日の平均視聴者が110万人、ゴールデンタイムは180万人とかなりの影響力のあるTV局です。(出典:REUTERS | 米FOXニュース、5年連続視聴者数トップ 2020年は過去最高

(出典:Twitter | Twitter

オランダ、ロシア、イタリアなど世界を股にかけてプレーする本田選手のフォロワーは国際感覚豊かな人が多いのかもしれないです。さすがKEISUKE HONDAやで。

2-9. ゲーム・アニメ・漫画

ゲーム・アニメ・漫画」カテゴリを見ていきます。堂安選手をフォローしている人の2.2%が「ゲーム・アニメ・漫画」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は2.5%で、その差は0.3%

ウイイレ、鬼滅などはこのカテゴリの常連ですね。1つ気になるのが、本田選手の3位にプロスピAが入っていることですね。プロスピAとは、プロ野球スピリットAの略でKONAMIが開発したNPB公認のモバイルゲームです。本田選手のフォロワーはダルビッシュ有&田中将大投手をフォローしている人が多かったので、野球好きも多いのかもしれないですね。

(出典:Twitter | Twitter

2-10. 政治家・議員        

最後は、「政治家・議員」カテゴリです。堂安選手をフォローしている人の1.5%が「政治家・議員」のアカウントをフォローしています。対する本田選手は4.40%で、その差は2.9%

2選手ともに1-4位までの顔ぶれは変わりません。自民党の河野太郎、安倍晋三、維新の会を作った橋下徹と大阪府知事の吉村洋文と続きます。

堂安選手の5位が都知事の小池百合子が入ってるのに対し、本田選手の5位には第44代米国大統領バラク・オバマが入っています。本田選手のフォロワーはCNNをフォローする人が多かったりと、グローバルな視点をお持ちの方が多そうです。

(出典:Twitter | Twitter

3. 堂安律v.s.本田圭佑フォロワー分析結果まとめ

堂安&本田選手のファンの興味・関心をまとめると以下のようになりますかね。

分析をしてみたら本田選手のファンは“サッカー以外”に興味のある人も多く、多種多様そうってことがわかりました。それもそのはずで本田選手はサッカー以外の活動を数多くしています。会社を経営したり、サッカースクールを開校したり。ちょっと前は、KSK HONDAコインなる暗号資産も発行しています。(出典:GMOコイン | 本田圭佑氏、自身の暗号資産トークンをローンチ

本田選手ほどではないものの、プレーするスポーツ以外の活動に精を出している選手ってけっこういます。ファッションブランドを立ち上げたり、釣りに勤しんだり。例えば、ヴァンフォーレ甲府の三平和司選手なんかは釣り好きが高じて、ルアマガというサイトにインタビューを受けています。

ルアマガというサイトは内外出版社が運営しており、雑誌Lure MagazineのWeb媒体です。雑誌の人気はなかなかのもので、発行部数35万部、釣り雑誌ランキング2位に入っています。(出典:Fujisan.co.jp |  釣り 雑誌 ランキング

こんなメディアに取り上げられる三平和司選手のフォロワーを見ると、おそらく釣りファンも混じってくるはずです。すると、FAになった際に三平選手を獲得したチームは、釣りに興味関心のあるファンも同時に獲得することになります。そうすると、新たなスポンサー候補も見えてくるかもしれません。

このように、選手はチーム単体ではアプローチできなかったファンへ近づくためのきっかけになり得るんですね。スポーツチームは、選手がどんな分野でプチインフルエンサーになっているのか、を棚卸ししてみるといいかもしれません。(逆を言うと、選手がチームを離れることで、どんなファンを失うかも知っておいて損はないかもしれません)またスポンサー企業は、どうしてもリーチしたい顧客層に影響力のある選手を見つけ、その所属チームにスポンサーするってのも考えうるかと思います。

4. おわりに

いかがでしたでしょうか。もしこのSPOVA SNSアナライザー((スーパー)ミラクルロマチックSNS分析マシン1号)を使って、「他の選手も比較してみたい」、「あのチーム&選手のファン像をより詳しく分析したい」というチーム関係者さま、スポンサー企業さま、広告代理店・コンサル・メディア企業さま、もしくは熱烈な分析マニアサポーターさまがいらしたらご連絡いただければと思います。

これからも引き続きスポーツチームと企業のビジネスとしての関係構築に役立つ情報を発信していきます。Twitter・Facebookのフォローもどうぞよろしくお願いいたします。

なお少し前に、今回と違うダービーシリーズもご紹介しました。
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セレッソ大阪 v.s. ガンバ大阪大阪ダービー

横浜F・マリノス v.s. 横浜FC横浜ダービー

鹿島アントラーズ v.s. 柏レイソルちばらぎダービー

FC東京 v.s 川崎フロンターレ多摩川クラシコ

大分トリニータ v.s サガン鳥栖九州ダービー

FC東京・森重真人 & 浦和レッズ・槙野智章のファンの特徴を分析

それと、国内外のスポンサー事例を調査・分析できるSPOVA DB(データベース)もご紹介しました。こちらも気になる方はポチッと願います。

SPOVA DB【企業・業界分析編】

SPOVA DB【コンテンツホルダー分析編】