SPOVAでは今まで日本のeスポーツ市場の全体像や、海外のeスポーツ市場の動向と企業の取組み事例などを取り上げてきました。また、そもそもeスポーツって何?スポーツなの?という疑問にお応えした記事もありますので、ご興味ある方は↓からご一読頂ければ幸いです。

日本のeスポーツ市場の全体像:

海外のeスポーツ市場規模・動向、Topチームと企業の取組事例:

そもそもeスポーツとは?

そして今回は↑とは少しテイストの異なる内容になります。今回はeスポーツチームとスポンサーとして関わる企業の生の声をお届けしようと思います。

具体的には北九州にあるDELTA esportsというFortniteのプロチームにスポンサーしているClutch社の生の声をお届けします。Clutch社が、なぜスポンサーに至ったのか、DELTA esportsとどんなコトをしているのか、どんな効果があったのか、なんかを直接ヒアリングさせて頂いたので、その内容を記事にしています。

「海外では大企業含めていろんな企業がeスポーツに関わってるのは知っとる。でも日本でぶっちゃけスポンサーメリットってある?成果って出てるの?」といった疑問にお応えできればと思います。

eスポーツにスポンサーを検討している企業さんにとっては参考になる内容かと思います。ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

では参ります!

1. Delta esportsのスポンサー「Clutch」とはどんな会社か

まずはじめにClutch社がどんな会社なのかを簡単に説明しておきます。

Clutch社は2017年創業の、ゲーム周辺機器、コントローラー等の専門ブランド「A5」を開発・販売するメーカーです。本社は東京都にあり、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどで製品を購入することができます。

Clutch社は2019年11月からA5ブランドとして初めてDELTA esportsのスポンサーとなりました。

スポンサーとしてDELTA esportsとどのようなアクティベーションを行ってきたかは後程ご紹介していきます。

ちなみにClutch社は、2020年にVALORANTやApex Legendsなどの競技タイトルで好成績をおさめるeスポーツチームであるLuster7のスポンサーにもなっています。Delta esportsとの取組みの成果を横展開していく狙いが伺えますね。

2. DELTA esportsとはどんなeスポーツチームか

では次にDELTA esportsについてご説明しておきます。

DELTA esportsはオンライン対戦ゲーム“FORTNITE”に特化したプロチームです。チームスローガンは“無名から成り上がる”。設立は2019年7月で、船曳海世氏(プレイヤーネーム:はくさん)が創立者となり設立されました。その後、2019年10月に運営会社のSGトラスト(株)の下に法人化し、正式に今の形になっています。当初はTwitterなどを通じて集まった選手4名でのスタートでしたが、今では日本全国から実力のある14名の選手・スタッフが在籍するまでに成長しています。

そして競技成績としても、2020年はFortniteの世界大会で10度アジアランキング1位を獲得しています。

(出典:DELTA esports | HOME)

3. Clutch社へのインタビュー:なぜDeltaのスポンサーに?成果は?

ではではココからClutch社へのインタビュー内容をお届けしていきます。

【質問1】
そもそもなぜeスポーツにスポンサーしようと考えたのでしょうか?

【回答1】
A5は「本気で遊ぶ」ゲームプレイヤーを徹底サポートする事をモットーにしています。主に日本国内のeSportsプレイヤー向けの製品開発を行っているゲームデバイスブランドで、立ち上げ後3年弱になります。

若い会社なため、認知度・信頼度が低い点が課題でした。弊社代表がゲーム業界出身であることもあり、ゲーム業界の発展に寄与しながら認知度を高めたいという思いを持っていました。そんなことからeS
portsチームのスポンサーを模索しておりました。

【質問2】
他のプロモーション手段(Web広告、SNSマーケティングetc)は検討しなかったのでしょうか?

【回答2】
プロesportsチームのファンは濃いゲームプレイヤーが大多数です。ですから、不特定多数へ露出する広告等よりもファンと長期的な信頼関係を結びやすいと考えたので、チームへのスポンサーを選択しました。

【質問3】
数あるeスポーツチームの中からDELTA esportsを選んだ理由をお聞かせください

【回答3】
いくつかのeスポーツチームからスポンサーの打診を受けていました。DELTA esports様はその中でもオーナー様がしっかりした未来ビジョンを持っていたこと、チームメンバーの実績や人気度が高かったことが決定打でした。

設立が浅くこれからのチームではありましたが、将来のビジョンが明確であり、一つ一つの施策を進めていける行動力があると感じた点が魅力でした。あとは外部からの注目度ですね。

【質問4】
DELTA esports様とどういったアクティベーションを実施しているのでしょうか?

【回答4】
オーナーアカウントやチーム・メンバーアカウントでの弊社製品をツイートしてもらっています。また、選手の製品レビュー、弊社製品を景品としたキャンペーンなどを行っていただいております。今後は、新製品のPRやDELTA様の独自イベントなどを実施予定です。

【質問5】
アクティベーションの結果、どういった成果があったのでしょうか?

【回答5】
成果として目に見えたのはフォロワー数の増加ですね。製品認知が進んできていると感じています。商品紹介後の短期的な反応は通常の広告くらいのコンバージョン上昇と同等ですが、製品が長期に渡って売れていることを考えると成果につながってきているとは感じています。

【質問6】
認知拡大のほかに感じている成果はありますか?

【回答6】
スポンサードさせていただいているチームが成長することは、いちファンとしても喜ばしいことです。それが仕事のモチベーションにも繋がります。シンプルにエンターテイメントとして社員一同楽しませてもらっています

【質問7】
Delta esports様との将来的な展望をお聞かせください?

【回答7】
弊社の製品を基盤にしたオリジナルグッズなども開発していきたいと考えております。

4. インタビューの回答をSPOVA的視点でまとめ解説

以上がDELTA esportsにスポンサーしたClutch社の生の声でした。ここからは、このインタビュー内容を我々なりに解説していきたいと思います。

4-1. 濃いファンにリーチして、認知拡大と長期的な関係を構築する!

まず一つ目の解説ポイントです。

【回答1】にもありますが、Clutch社のように若い会社で、認知拡大に課題を抱えている企業さんは数多くいらっしゃいます。社会的な認知がなければ、お客さんがモノ・サービスを購入する際の選択肢にも上がらないわけです。古くから使われるAIDMAフレームワークでいうAですね。Clutch社はこのAにあたる、お客さんたちに“知ってもらうコト・注意を向けてもらうコト”を考えたというわけですね。

ただ、いたずらに認知拡大の策を打つってのも考えものです。認知拡大のための策として思いつくのが、テレビCMですね。テレビCMの情報拡散力は大きいものがあります。ネットが普及しつつある現代でも、その影響力は無視できません。

しかし、このテレビCMにも弱点があります。それは“あくまでマスメディア”ってことです。テレビを見てる人の性別、年齢、家族構成、趣味嗜好は比較的偏りがありません。そのうえで、【回答2】にあるように、Clutch社はテレビCMのように不特定多数へ露出する広告は長期的には施策効率が低いと判断したわけですね。自分たちの製品を愛用してくれるお客さん(eスポーツプレイヤー)にピンポイントでリーチし、長期的な関係構築ができる手段として、DELTA esportsへのスポンサーを選んだってことです。

【回答4】にあるように、両者はDELTA esportsのSNSアカウントでA5製品をツイートするというアクティベーションを行っています。2021年6月時点でのDELTA esportsのTwitterアカウントは1.7万人のフォロワーがいます。

(出典:Twitter | DELTA OFFICIAL)

さらに立ち上げメンバーのはくさんのTwitterフォロワーが約6千人。他メンバーのフォロワーはそれぞれ、MERCI:2.2万、RUI:1.6万、Syamu:1.1万、TATOO:9千、ONIGIRI:9千、となります。

(出典:DELTA esports | TEAM)

A5の製品紹介を読むと、「本気で遊ぶ」を徹底サポート、という言葉があります。この言葉にある通り、Clutch社は本気で遊ぶeスポーツプレイヤーたちをお客さんにしたいわけです。そこで、eスポーツを本気で遊ぶ数万人をフォロワーとして抱えているであろうDELTA esportsのチーム&選手アカウントを通じて、アプローチしたってことですね。

実際に効果としても【回答5】にあるように、製品が長期に渡り売れるようになった、とあります。A5のSNSアカウントのフォロワーが増加し、「本気で遊ぶ」ゲームプレイヤーからの認知が拡大するとともに、長期的な関係作りに成功していると言えますね。A5のTwitterアカウントを確認してみると、現時点で1.2万人のフォロワーがいます。若いゲーミング機器メーカーのアカウントとしてはかなり多いと言えるのではないでしょうか。

4-2. ビジョンと体制に惹かれてスポンサーすることを決める

続いて2つ目の解説ポイントです。

【回答3】にあるように、Clutch社はDELTA esportsにスポンサーした理由としてオーナーが持つ未来ビジョン&行動力をあげています。

確かに彼らは”無名から成り上がる”を合言葉に様々なビジョンを掲げています。競技面で言うと、フォートナイトでアジアNo1チームになるというビジョンを持っています。加えて、日本のeスポーツの底上げ、もビジョンとしています。そのためにDELTA CUPという実力プレイヤーたちが集結する大会を開催しています。

また、eスポーツを起点とした人材育成にも取り組んでいます。これはトップレベルのチームで戦ってきたプレイヤーとスタッフが教育機関を設立し、人材育成にあたるというものです。企業や学校で、IT技術を駆使する即戦力としての人材を輩出することを目標にしています。このようにDELTA esportsは明確なビジョンとともにあらゆる行動を起こしているeスポーツチームなのです。

ビジョンに加えて、eスポーツチームには珍しく、DELTA esportsはチームの組織力を1つの強みにあげています。ゲーマーご用達のチャットアプリDiscordを使い、全国各地に散らばるスタッフ&選手と頻繁にネット会議を実施しています。そこではチームの方向性、役割分担などをしっかりと話し合っているそうです。

一般的に組織は大きく3つの要素に分解できます。ビジョン・戦略など会社の方針にまつわるもの。組織という会社の体制にまつわるもの。最後にという会社の人材にまつわるもの。上に書いたようにDELTA esportsは明確なビジョンを掲げています。そして組織や体制を大事にしています。だからこそ、ブレることなくチームの方向性を定め、大会主催などの行動を積み重ねていけるわけです。そんな点をClutch社は評価し、スポンサーに踏み切ったと思われます。

(出典:三菱総合研究所 | 組織・人材戦略コンサルティング より作成)

4-3. スポンサーすることで社員のモチベーションUP!

そして最後に。DELTA esportsにスポンサーすることで、Clutch社は認知拡大以外にもメリットがあったようです。それが【回答6】にある、社員の仕事に対するモチベーションアップです。

2013年にスポーツスポンサーシップの国際ジャーナルに“Employees’ attitudes towards the sponsorship activity of their employer and links to their organisational citizenship behaviours”という論文が掲載されました。これによると、自分の会社のスポンサーシップに良いイメージを持つ従業員は、その会社に所属していることを誇りに思う傾向にある、ってことが明らかにされました。

そして自分の会社のことを誇りに思った社員は、会社内において組織市民行動を起こす傾向にあります。これは、義務・報酬とは関係なく、企業の効率化に貢献しようとする従業員の行動のことです。例えば、給料は関係ないけどめんどうな仕事を進んでやる、みたいな行動です。(出典:日本の人事部| 組織市民行動)

Clutch社のケースでも、DELTA esportsが活躍する → その様子を社員が楽しむ → 社員がDELTA esportsへスポンサーしたことをポジティブに捉える → 社員がClutch社へ良いイメージを持つ → 仕事もっと頑張る!、という流れが出来上がったのだと思います。

5. おわりに

いかがでしたでしょうか。Clutch社のeスポーツチームへスポンサーした経緯結果について生の声をお伝えすると共に、インタビュー内容を我々なりに解説してみました。こうやって見てみると、eスポーツへスポンサーすることのきっかけ、メリットなんかがより解像度を上げてわかってくるかと思います。

日本ではeスポーツはまだ発展途上です。しかし世界を見渡すと、教育、地域振興、若者客獲得など様々な形で活用されつつあります。人口減少、GDPの横ばいなど、成長の鈍化が叫ばれる日本において、貴重な成長分野の一つであることは間違いないかと思います。

今回取り上げたDELTA esportsも日本のeスポーツを盛り上げるため、DELTA LEAGUEなるものを立ち上げて日々奮闘されています。

eスポーツにスポンサーするってどうしたらいいの? 

eスポーツって地域振興にどうやって役立つの?

DELTA esportsにめっちゃ興味あるんすけど!

こんなお悩み&思いが芽生えた会社さんがいましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。

ぜひ、弊社をディスカッションパートナーとしてご活用いただければと思います。